浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J20_0076A01: | 天正十八年小田原落城之時其年正月より本宗千葉家 |
J20_0076A02: | をはじめ一族郞等一同の催促によりて胤榮も辭する |
J20_0076A03: | に途なく關六州一同なれば一族とともに小田原に籠 |
J20_0076A04: | 城有り二世安譽上人竊に小田原に至り密使を送り利 |
J20_0076A05: | 害を説き和融をすすめられしかど千葉の一族いづれ |
J20_0076A06: | も義を金鐵に比して敢て諾せず |
J20_0076A07: | 安譽上人はかねて神祖も見しらせ給へは安譽ひそ |
J20_0076A08: | かに又神祖の御陣に向ひ奉り寺檀の衰亡を歎き若 |
J20_0076A09: | 出城の上は存命乞奉ると有ける時神祖元より厚仁 |
J20_0076A10: | 寬大にましましければ子細有まじと豐公の御氣色 |
J20_0076A11: | を伺ひ奉られ内意を安譽にさとさせ給ひし故に安 |
J20_0076A12: | 譽又再ひ原氏の陣に書を送るといへとも原氏の返 |
J20_0076A13: | 事に貴僧の執成源公の厚志は感佩するに餘りあり |
J20_0076A14: | 早く出城降乞すべしといへども妻子同しく當地に |
J20_0076A15: | 有家名義信に亡ふべき時節にや千葉の一族家門藩 |
J20_0076A16: | 士八千の人數ひとしく亡命をまつのみなれば我一 |
J20_0076A17: | 人命を全せんは先祖へ對し順ならず又妻子を誅戮 |
J20_0076B18: | せしめ武道の身としていかか世になからふべき此 |
J20_0076B19: | 身烟となりて白骨とさたあらは後世は師の法力仰 |
J20_0076B20: | 處なり源公の陣前然るべく執達有べしと有りけれ |
J20_0076B21: | ば其旨を又神祖に奏ありしかは神祖不便に思召れ |
J20_0076B22: | 胤榮もし降出せば關東の舊家我領知たらむ時は本 |
J20_0076B23: | 領に復せしむべきを亡家の敗將時節也とて安譽を |
J20_0076B24: | 饗せられしとぞ |
J20_0076B25: | 朱璽寶章 |
J20_0076B26: | 其後關東諸所戰中なれば又御陣所に出仕し禁札を願 |
J20_0076B27: | ひ奉られしかは則禁札下馬始のことく賜りぬ |
J20_0076B28: | 此禁札鎌倉にある所などに文格かはりあり是その |
J20_0076B29: | 國國に隨ひ舊例を多く採用し給へる御深慮のあま |
J20_0076B30: | ねき處なりとしるべし |
J20_0076B31: | 禁制 大巖寺 |
J20_0076B32: | 一軍勢甲乙人等濫妨狼籍之事 |
J20_0076B33: | 一放火之事 |
J20_0076B34: | 一殺生之事 |