浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0221A01: | り。 後奈良天皇享祿三年、第廿七世德譽上人の營建 |
J19_0221A02: | に係る。傳へ云ふ、靑蓮院の護摩堂を移築すと此堂は元の御影堂にして、 |
J19_0221A03: | 慶長九年大師の影像を中段の新殿に遷すに及ひ、本 |
J19_0221A04: | 地勢至菩薩の像作者不詳、藤原秀衡念持佛と云ふを壇上に安置し、勢至 |
J19_0221A05: | 堂と稱するに至れり。此堂は當山現存建築物中最古 |
J19_0221A06: | のものにして、明治三十二年四月特別保護建造物に |
J19_0221A07: | 指定せらる。「知恩敎院」の額は天文年中 後奈良天 |
J19_0221A08: | 皇の宸翰なり。 |
J19_0221A09: | 此堂に接して位牌所、衆寮、庫裡、客室等あり。客 |
J19_0221A10: | 室は山亭と號し、靜琳院殿吉子内親王の寢殿を移せ |
J19_0221A11: | るものにして、眺望佳絶、平安城下の光景一眸の中 |
J19_0221A12: | に收まる。 |
J19_0221A13: | 又堂の東側に影向石、紫雲水の故蹟あり。影向石は |
J19_0221A14: | 開祖大師御終焉の砌、賀茂明神影向の靈跡にして、 |
J19_0221A15: | 紫雲水は元亨二年正月二十五日了惠上人大師の語燈 |
J19_0221A16: | 錄を奉納の時、紫雲天に聳へ、光此池に映せるより |
J19_0221A17: | 名くとそ。 |
J19_0221B18: | 又堂後に當山歷代の墓所あり。其北端に濡髮堂あり。 |
J19_0221B19: | 寬永年中靈巖上人伽藍神吒枳尼天を祀る。 |
J19_0221B20: | 小鐘樓 勢至堂の前、元阿彌陀堂の跡にあり。方 |
J19_0221B21: | 九尺、瓧葺なり。元の鐘は二十四世肇譽上人の時、 |
J19_0221B22: | 永正十四年に鑄造せしものなれとも、微小に過くる |
J19_0221B23: | を以て、寶永七年之を改鑄せり。現今の鐘高四尺六寸徑二尺五寸 |
J19_0221B24: | 是なり。 |
J19_0221B25: | 御廟堂 勢至堂の東崖上、所謂賜蓮感夢御傳第三十八卷に出つ |
J19_0221B26: | の地に在り。方三間、南面、瓧葺なり。前面に唐門 |
J19_0221B27: | あり。左右に玉垣を繞らす。初め大師鶴林の後、石 |
J19_0221B28: | の唐櫃を搆へて尊骸を此地に歛め、廟堂を立つ。然 |
J19_0221B29: | るに嘉祿の變、粟生野に送りて荼毘に附したてまつ |
J19_0221B30: | り、上足等分骨護持せり。而して本廟は文曆元年勢 |
J19_0221B31: | 觀房の再興にかかり、靈骨を朱の唐櫃に盛りて、中 |
J19_0221B32: | 壇の寶塔に安置す。爾來數度の興廢を閲し、慶長十 |
J19_0221B33: | 八年滿譽僧正之を改築す。施主松平紀伊守信一なり。 |
J19_0221B34: | 其後寶永七年修復を加ふ。 |