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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0675A01: 參らせ申けれは父はゑみをふくみ汝若き身にしあは
J17_0675A02: れは遠國をふるとも早歸りなん心に任せ計へとあり
J17_0675A03: けれは母は女性のあいたちなき憂も悅も一所にあり
J17_0675A04: てこそかく年老たる二人を捨て他國にゆかんとは思
J17_0675A05: ひもよらすと悲しみとどめんとすれと父諾して許し
J17_0675A06: ぬれは彼者竟に囚となりて遠國にいたりぬ彼地の役
J17_0675A07: 所にをいて罪の輕重裁斷ありて自今已後他郷にをい
J17_0675A08: て造罪をいましめんために額にやきかねして許しけ
J17_0675A09: りしりそきて鏡に對し面を見るに其あとなししるし
J17_0675A10: を受しときは堪かたく侍りしに其あとなきは實に不
J17_0675A11: 思議なりと驚きけるに見聞の人あやしみ不思議の思
J17_0675A12: ひを成し膚につけたる守名號を取いたし見奉るに正
J17_0675A13: しく六字のかしらに灼銕のしるしありけり皆人これ
J17_0675A14: を同時に拜見して且は恐れ且はありかたく大慈大悲
J17_0675A15: の威神力廣濟衆厄難の本誓膽に徹し魂に染み上人の
J17_0675A16: 高德豁然として顯れ皎然としてかしこにくんじ驚歎
J17_0675A17: せすといふ事なし彼人ひそかに京に歸り双親に志し
J17_0675B18: を盡し上人の奇特をたうとみ如來の大悲をふかく信
J17_0675B19: して稱名おこたらすつとめけるとそ。
J17_0675B20: ○灼銕或灼鐵或烙鐵作五雜爼云天竺有四刑水火稱毒也乃至火則灼鐵令人抱持已上○灼鐵ヲ受シ人ノ子孫今ニ相續シケル即チ二條御幸ノ邊疊工某カ先祖是ナリ○南字ノ灼鐵其ノ例ヲシラス錢ヲ燒テカタ頰ニアテシコト昔シ鎌倉ニ町ノ局トヤランイヒシ德人有リ近クメシ使フ女童宿善ヤアリケン念佛ヲ信シ人目ヲ忍ビ數徧ヲ勤メケリコノ主ハキビシクモノイミシケルコトケシカラヌ程ナリ正月元日ハ兼テ申付タルコトナガラ日比申ケルクセトナリシユヘナニゴコロナク南無阿彌陀佛ト唱ヘケルヲ主人ナナメナラズイカリハラタチテイマイマシク人ノ死シタルヤウニ今日シモ念佛申コト不快ナリトテ錢ヲアカク燒テ童カカタ頰ニアテシニ女童念佛ノユヘニハイカナルトカニモアタレト思ヒ入テ夫ニ付テモ佛ヲ念シ奉リケル然ルニ思ヒニ違フテ痛ミナカリケリサテ主シ年始ノ勤メセントテ持佛堂ニ詣テテ本尊阿彌陀佛金色ノ立像ヲ拜ミ奉レハ御頰ニ錢ノ形黑ク見エケリ怪ミテ能能見レハ女童ニカナ燒キシツル顏ノホトニテマカフ所ナク錢ノ形ナリケレハ淺マシナントイフハカリナク女童ヲ喚ヒテ見ルニ聊モ疵ナシ主大ニ驚キ慙愧懴悔シテ佛工ヲヨヒ金薄ヲオサスルニ薄ハカサナレトモ疵ハスヘテカクレズ今ニ鎌倉比企谷岩藏寺ニ在ス運慶ノ作リシ本尊ナリスヘテ佛菩薩ハ何モカハルコトナク信心フカキトキハ磁石ノ鐵ヲ吸フカ如ク枯木ニ火ノカツルカ如シ若シ信心ウスク行業踈キトキハ罪障ノ雲ヘタタリテ感應ノ月ヲ見ルコトアタハス世間ノ習ヒ妻子眷屬ヲ濃ニ養ヒナレシ

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