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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0631A01: の足なくとも彌陀本願の稱名は有智無智有罪無罪を
J17_0631A02: 論ぜず决定して稱るものは攝取の光明にあづかりて
J17_0631A03: 往生疑ひなしと示し給へは老弱男女佛のごとくたう
J17_0631A04: とみ歡喜の泪にわかれををしみ奉りぬ中にも駿州吉
J17_0631A05: 原の里は宿因やありけむ日わ累て法莚を開き專修の
J17_0631A06: 一行を示し玉へば安心决定して不退に稱名念佛せる
J17_0631A07: 人おほく遂に化導の跡一寺となし稱念寺と號しけ
J17_0631A08: る。
J17_0631A09: 念佛弘通を太神宮に祈願し給ふ事
J17_0631A10: 斯て上人伊勢路に遊履し給ふにその行相げに凡人と
J17_0631A11: は見えさせ給はねは衢に相逢人毎に掌を合せ圍繞渴
J17_0631A12: 仰して十念を受んと欲するもの風に草の靡かことく敬
J17_0631A13: ひ奉らぬはなかりき上人かねてきこしめし給ふに關
J17_0631A14: 西の諸國禪法盛りに行れ其器にあらざるものもいた
J17_0631A15: づらに座禪に工夫を費し機法のわきまへもなくみだ
J17_0631A16: りに稱名の行をさみすと聞およひ給ふににげなく仰
J17_0631A17: 信のありさま時機相應の法門なりといさみ思して
J17_0631B18: 太神宮へ七日參籠ましまし冀は今時難解難入の法を
J17_0631B19: さしをき大悲の本懷易行大善の法門を弘通せん事を
J17_0631B20: とふかく祈願し玉ふ無二至誠の御心神慮に應じける
J17_0631B21: にや滿參の夜 皇太神とおほしく高顏巍巍としてや
J17_0631B22: んことなき御よそおひにて一柄の如意を賜ふと見て夢
J17_0631B23: 覺けれはこれ我大願成就の奇瑞なりと歡喜身に餘り
J17_0631B24: 彌志しを勵し勢州の間爰彼所遊履し給ひて專修の要
J17_0631B25: 行を示し玉ふとなり。
J17_0631B26: 松坂樹敬寺住職俊乘房神告類例事
J17_0631B27: 同記云爰に松坂樹敬寺の檀那歸依ふかく請待し奉れ
J17_0631B28: は止事をえす第六世の職を秉玉ふ此樹敬寺と申は元
J17_0631B29: 祖大師の御弟子俊乘房重源上人の開基なり其濫觴を
J17_0631B30: 尋るに治承四年十二月廿八日本三位中將重衡卿父平
J17_0631B31: 相國の命によりて南都を責しとき東大寺に火かかり
J17_0631B32: しかば大伽籃忽に灰燼となりにき翌治承五年六月廿
J17_0631B33: 六日東大寺造營のために大勸進の聖の沙汰ありける
J17_0631B34: に大師其撰にあたり玉ひにけれは右大辨行隆朝臣

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