ウィンドウを閉じる

J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0213A01: ぬ。一の息とどまるといへども。兩眼まじろぐがご
J17_0213A02: とく。手足ひえたりといへども。唇舌を動かす事十
J17_0213A03: 餘返。行年四十三より毎日七萬返の念佛遂に退轉な
J17_0213A04: し。春秋滿八十。夏﨟六十六。三春いかなる節ぞ。
J17_0213A05: 釋尊滅度を唱へ。上人滅度を唱へ給ふ。彼は二月中
J17_0213A06: 旬の五日。是は正月下旬の五日なり。八旬いかなる
J17_0213A07: 年ぞ。釋尊圓寂に歸し。上人圓寂に歸し給ふ。かれ
J17_0213A08: も八十歳也。これも八十歳也。倩是をおもふに旬月
J17_0213A09: 同く。年齡ひとしきのみにあらず。支干を計ば。ま
J17_0213A10: 壬申の年に當れり。皆是釋尊の化縁にひとし。定
J17_0213A11: めて自然の事にあらざんものか。
J17_0213A12: 諸人夢想事
J17_0213A13: 參議兼隆卿。今日よりさき七八年の當初。權右辨な
J17_0213A14: りし時。上人往生の時は光明遍照の四句の偈を唱へ
J17_0213A15: 給ふべしと。夢に見給ひけるが。上人にも申さず。
J17_0213A16: 弟子にも語らず。只注し置て年序を經けるほどに。
J17_0213A17: 上人此文を唱て往生し給へる間。奇特の思ひをなし
J17_0213B18: て。注し送られける夢の記に云。人有て大帖の双紙
J17_0213B19: をひろげて見る間。何文ぞと見れば。諸の往生人を
J17_0213B20: 記せる書也。次第に是を引見るに。奧に至て記して
J17_0213B21: 云。光明遍照十方世界。念佛衆生攝取不捨。法然上
J17_0213B22: 人臨終に此文を誦して。往生をとげらるべしと記せ
J17_0213B23: りと見て覺ぬと云云。昔の夢。今の往生。宛もたがふ
J17_0213B24: 事なし。誰か歸信せざらんや。加之上人往生の前後
J17_0213B25: に當りて。諸人靈夢を注し送る事不可勝計。暫く
J17_0213B26: 略して是をいはば。四條京極の薄師眞晴。同正月十
J17_0213B27: 九日の夜のゆめに云。東山法然上人の禪房の上に。
J17_0213B28: 一片の聚雲聳けり。是は往生の雲也と云て。諸人羣
J17_0213B29: 集しておがむと見て夢覺む。翌日廿日の巳の尅に紫
J17_0213B30: 雲彼坊の上に垂布せり。諸人所所にして是を見
J17_0213B31: る。今の夢と符合せり。三條小川の陪臣信賢が後
J17_0213B32: 家尼の養女。同き廿四日夜のゆめにいはく。上人へ
J17_0213B33: 參じたれば。上人の曰。我は明日往生すべきよし。
J17_0213B34: 若今夜來らざらましかば。又對面せざらまじと仰ら

ウィンドウを閉じる