浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0105A01: | ねんごろにいひければ。はは此ことはりにおれて。 |
J17_0105A02: | みどりなるかみをかきなでで。涙をぞ頭にそそぎけ |
J17_0105A03: | る。おもひあはせらるる事あり。祕密灌頂とかやに |
J17_0105A04: | ぞ。物をばいわずして。いただきに五瓶の智水をそ |
J17_0105A05: | そぐとは申事あんなれ。母おもひのあまりに |
J17_0105A06: | かたみとてはかなきをやのととめてし |
J17_0105A07: | このわかれさへまたいかにせん |
J17_0105A08: | 童兒入洛事 |
J17_0105A09: | この兒。入洛の時。久安三年二月十三日。つくりみ |
J17_0105A10: | ちにて。時の關白法性寺殿の御出にまいりあひ奉 |
J17_0105A11: | て。傍なる小河にうちより給けるを。御車よりあの |
J17_0105A12: | 幼きもの。馬にのせながら。具してまいれと。仰く |
J17_0105A13: | だされけるにつきて。御隨身とも具參す。御車をか |
J17_0105A14: | けはづし御合掌ありて。いかなる兒ぞと。御たづね |
J17_0105A15: | ありければ。美作國より比叡山に學問の爲にまかり |
J17_0105A16: | のぼると申。殿下の仰にさる事あるらん。かまへて |
J17_0105A17: | 學問よくせらるべし。師匠にたのみたてまつるべし |
J17_0105B18: | と。念頃に御契ありけり。上下の御ともの人。これ |
J17_0105B19: | ほどの田舍兒に。過分の御禮儀何事ぞやと思あひけ |
J17_0105B20: | るに。後に仰のありけるは。彼兒はただ人にあらず。 |
J17_0105B21: | 頂のうへにうつくしき。天蓋ありき。ちかくて見し |
J17_0105B22: | には。眼精に金光ありつと。これをうけ給はる人人。 |
J17_0105B23: | いかでか感じ申ざらん。御覽じとどめらるる御め |
J17_0105B24: | と申。見へたてまつる人と申。あらかたじけな |
J17_0105B25: | やあらかたじけなやとぞ申あへる。 |