浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0017A01: | 覺しくて。脣舌を動給へり。春秋八十に滿たまふ。 |
J17_0017A02: | 第十五 沒後順縁利益門 |
J17_0017A03: | 上人の滅後に。八方の遺弟。各上人の正義を弘通し |
J17_0017A04: | て。念佛世にひろまり。稱名國にみつ。信ぜざる者 |
J17_0017A05: | は少。信ずる者尤多し。これ上人權化の効。聖衆護 |
J17_0017A06: | 念の力なり。或は上人勸化の假名の書。大胡に示さ |
J17_0017A07: | る消息。二位殿に敎化の返狀。此等の書に依て本願 |
J17_0017A08: | を信じ。極樂に往生する。道俗貴賤。年年にまさり |
J17_0017A09: | 日日にさかりにして。念佛の繁昌眼前に證あり。爰 |
J17_0017A10: | に禪林寺の靜偏僧都は。上人入滅の後。選擇集に歸 |
J17_0017A11: | して。一向專修念佛者となれり。かの僧都はこれ眞 |
J17_0017A12: | 言家の賢哲。小野廣澤の兩流を相傳せる明匠なりけ |
J17_0017A13: | れども。淨土の法門有縁なるにや。彼宗を捨てて念 |
J17_0017A14: | 佛門に歸し給へり。皆これ上人滅後の利益なり。現 |
J17_0017A15: | 證を見聞して。化導の遍ことを知れり。 |
J17_0017A16: | 第十六 沒後逆縁利益門 |
J17_0017A17: | 上人左遷の時。予に語給はく。貧道が流罪。更に歎 |
J17_0017B18: | 苦にあらず。念佛の興行。洛陽にして年ひさしし。 |
J17_0017B19: | 今邊鄙に趣て。田夫野人を敎化せん事。年來の本意 |
J17_0017B20: | なり。但いたむところは。源空が弘むる淨土の法門 |
J17_0017B21: | は。造惡の凡夫出離の要法なるが故に。念佛守護の |
J17_0017B22: | 神祇冥道。無道の障難をとがめ給はん歟。長存命せ |
J17_0017B23: | られば。因果の空からざる事を思合べしとぞ仰られ |
J17_0017B24: | ける。其後いくばくの歳月をへず。わづかに十箇年 |
J17_0017B25: | の間に。承久の逆亂おこりて天下の騷動にをよび。 |
J17_0017B26: | 君は北海の島に行幸して隱岐院と號す。讒臣は戰場 |
J17_0017B27: | に討負て或は命を失ものもあり。まことに不思議に |
J17_0017B28: | ぞ侍る。又後堀川院の御宇安貞二年丁亥六月二十一日 |
J17_0017B29: | に比叡山の衆徒一同に僉議すらく。專修念佛世に興 |
J17_0017B30: | 行してより。聖道の諸宗習學するに人なし。しかれ |
J17_0017B31: | ば奏聞を經て。善導勸化の念佛の行法を停廢せしむ |
J17_0017B32: | べし。所詮彼法門の興起は法然房根本なれば。大谷 |
J17_0017B33: | の墳墓を破却し。源空が死骸を取て鴨河に流すべき |
J17_0017B34: | にさだめ。奏し申ければ。つゐに勅許を蒙り。同二 |