浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0003A01: | らん。我此命を惜。人豈惜ざらんや。我が情をもて。 |
J17_0003A02: | 人の思を知べし。然則一向に專自他平等の濟度を祈 |
J17_0003A03: | り。怨瞋悉消て。親疎同菩提に至らんことを願べし |
J17_0003A04: | と。言をはりて。心を直し西に向て。高聲に念佛し |
J17_0003A05: | て。眠がごとく命終し給ひけり。 |
J17_0003A06: | 第三 最初入學佛法門 |
J17_0003A07: | 永治元年七月十日改元辛酉の歳末に。當國菩提寺の院主觀 |
J17_0003A08: | 學得業智鏡房の弟子となる。師。經書を授るに。性は |
J17_0003A09: | なはだ峻爽にして憶持して忘給はず。 |
J17_0003A10: | 第四 離親登山學行門 |
J17_0003A11: | 觀學。等侶に語て曰。此兒の器量直人にはあらず。 |
J17_0003A12: | 何ぞ邊國に住しめん。はやく台嶺に登すべしと。而 |
J17_0003A13: | 間此小童を相具して。母の所に行て此由を語。母聞 |
J17_0003A14: | て。仁者をば無人の可留とぞ深思へば菩提寺に住つ |
J17_0003A15: | るさへ。猶遠と思なり。況登山せんをや。思よらざ |
J17_0003A16: | ることなりといへば。小童。昔本師釋迦尊は。御年 |
J17_0003A17: | 十九にして。父の大王に忍。密に王宮を出で。終に |
J17_0003B18: | 成佛して。無量の衆生を濟度し給へり。今自は生年 |
J17_0003B19: | 十三。暇を悲母に申し。法山に登り。出家修學して。 |
J17_0003B20: | 父母の深恩を報じ。皆佛道に引導し。我も人も悟を |
J17_0003B21: | 開たてまつらん。返返歎給ことなかれ。努力恨給は |
J17_0003B22: | ざれと申せば。母の曰。誠に生子に訓らるるとは是 |
J17_0003B23: | なり。傳聞。往昔釋迦如來は。御母の爲に摩耶經を |
J17_0003B24: | 説給へりと。今更に思合て。有難ぞ侍る。然はあれ |
J17_0003B25: | ども凡夫の拙習。恩愛の別忍難とて。落涙千行なり。 |
J17_0003B26: | 小童。又傳聞參河守大江定基と云し人は。出家學道 |
J17_0003B27: | し。老母の許を蒙て。大唐に渡り。彼國にして圓通 |
J17_0003B28: | 大師の號を得。本朝の名を上たり。それ佛も流轉三 |
J17_0003B29: | 界中。恩愛不能斷。棄恩入無爲。眞實報恩者と説給 |
J17_0003B30: | ふ。自もはやく四明に登。すみやかに一乘を學て。 |
J17_0003B31: | 二親の菩提を訪なば。豈眞實の報恩に非らんやと。 |
J17_0003B32: | 條條に理をつくして申ければ。母も理に屈して。泣 |
J17_0003B33: | 泣暇を許けり。觀學得業も。此問答往復を聞て歡喜 |
J17_0003B34: | 心を迷し。落涙袂を潤て。申演ん方もなく。語少に |