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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0991A01: 給ふ事なかれ。
J16_0991A02: 抑宸翰の御本は。卷の内には題號なし。ただ表紙の
J16_0991A03: 上に。法然上人行狀繪圖と題せられたり。今敕修吉
J16_0991A04: 水大師御傳を標題し侍る事は。吉より相傳へて。敕
J16_0991A05: 修の御傳と稱したる上。今又あらたに。圓光大師の
J16_0991A06: 徽號ををくり給りてしゆへなり。かの唐の百丈淸規
J16_0991A07: は天下禪刹の通規なり。しかるに。此書久しく世に行
J16_0991A08: はれてし後。損益のあやまりおほく侍りければ。元
J16_0991A09: 朝の德輝禪師。これをなげきて。挍正添削せばやと思
J16_0991A10: はれしかども。私の刪修は。天下の諸刹に通用しが
J16_0991A11: たき事をやはばかりけん。殊に朝廷に奏聞して。敕
J16_0991A12: 許をかうふり。刪定すでにをはりしかば。やがて敕
J16_0991A13: 修百丈淸規と題せられける。異國のためしも。思ひ
J16_0991A14: 出られて侍り。いはんや此御傳の總修は。初め敕詔
J16_0991A15: より事をこりて。また敕裁に及び。終に敕筆に事成
J16_0991A16: てければ。敕修の中に。殊に勝れてかたじけなき物
J16_0991A17: なるをや。かれは諸寺の通用をはかりて。敕修の字
J16_0991B18: をそへ。これは萬人の信敬を思ひて敕修の字をくは
J16_0991B19: ふ。其おもむきは。やや異なれども。護法の叡功は。
J16_0991B20: はやく同じかりけり。からのやまとのいにしへも今
J16_0991B21: も。かくばかり國王大臣の。外護の力のとぼしから
J16_0991B22: ざるを思ふに付て。今さら。靈山の昔の附屬の驗し
J16_0991B23: あるに感じ。なを彌陀一敎。利物偏增の末代までも。
J16_0991B24: 此御傳を見侍らん人人。俗諦の敬ひより。眞諦の信
J16_0991B25: をおこして。解脱の門にいりねかしと。思ひ侍るに
J16_0991B26: ぞ。古今の美號に任て。敕修吉水圓光大師御傳とは。
J16_0991B27: 標題し侍るものならし源尊氏公。宸翰の御傳を拜覽して奉納の爲に。三合の唐〓を寄進せらる

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