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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0988A01: いとねんごろなりける護法の叡慮に。御心感ぜさせ
J16_0988A02: 給ひて。今又あらたに四十八卷の繪詞を調られて。
J16_0988A03: 尊光法親王になん。まいらせらるべしとて。延寳の
J16_0988A04: 比。土佐法眼常照。住吉法眼具慶に仰せて。御傳の
J16_0988A05: 畫圖をうつさせられけり。丹靑いまだ半ならざりけ
J16_0988A06: る程。門主はからざるに。かくれさせ賜ひにけれ
J16_0988A07: ば。本意なしとや思召れけん。其後はいつとなく。
J16_0988A08: 其御沙汰もやみにけり。畫圖のならざりしは。いと
J16_0988A09: をしく侍れども。やんごとなき。護法の叡志は。ま
J16_0988A10: た後の世の模範なるべしと。かたじけなくぞ侍るめ
J16_0988A11: る。
J16_0988A12: つらつら御傳の縁起を按ずるに。誠に僧中の公傳に
J16_0988A13: して。今古に比類なき事にぞ侍る。其ゆへは。門人の
J16_0988A14: 舊記は。上世の實錄なれども。をのをの知れる所を
J16_0988A15: のみ。記せられしかば。たがひに書もらせる事。な
J16_0988A16: きにしもあらず。さればあまねく。諸傳を通はしめ
J16_0988A17: ん事もわづらはしかるべきに。法印の總修は。數編
J16_0988B18: の傳記にのする所。ことごとくそなはりて。さらに
J16_0988B19: 搜索のわづらひなし。いとめでたからずや。又惣修
J16_0988B20: の功は。さるものから。もし此宗の人の手になん
J16_0988B21: 出たらましかば。猶うたがふ人も侍らんを。台宗の
J16_0988B22: 法印。平等利益の公心より。ただ法のために記せら
J16_0988B23: れけん。其私なき程。また思ひやるべし。又たとひ
J16_0988B24: 他門の人なりとも。專修の行者ならましかば。所弘
J16_0988B25: の法を執ずる習ひに。能弘の人師にも。過讃の詞や。
J16_0988B26: まじふらんと。猶いぶかしさを殘す人も侍るべき
J16_0988B27: に。かけまくも。かしこきみことのりにをそれて。舊
J16_0988B28: 記の世にも事のしげく。また要ならざるをば。ある
J16_0988B29: をだにのぞかれて侍り。王事もろいことなし。法印あ
J16_0988B30: に私をいれめや。ただ舊記のままに書寫して。潤文
J16_0988B31: 挍正の御再治をば。あふぎて天裁にゆづり奉られけ
J16_0988B32: る。法印の案げにかしこくぞ覺え侍る。これより文
J16_0988B33: 章も。いまひとしほ色はへて。御傳の光いやまさり
J16_0988B34: ぬ。をよそ古今諸師の傳記おほかる中に事蹟のつま

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