浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0986A01: | 證誠の説なり。山王權現納受し給へる行なり。大師 |
J16_0986A02: | 先德依用したまへる勤なり。もし是をも難ぜらるべ |
J16_0986A03: | くは。まづ敎主釋尊を難じ。恒沙の諸佛を難じ。次 |
J16_0986A04: | に山王權現を難じ。大師先德を難じ申さるべき歟。 |
J16_0986A05: | 其難またく老愚が身の上にはあづからじ。就中。非 |
J16_0986A06: | 器不堪の老愚は。一乘修學の窓。とこしなへにくら |
J16_0986A07: | 〓して。眞常性の月。かげをかくし。五相成身の觀。 |
J16_0986A08: | こらしがたくして。本不生の水。にごりをます。顯敎 |
J16_0986A09: | にも密敎にも。進退ともに度をうしなひ。眞諦にも |
J16_0986A10: | 俗諦にも。内外ともに忙然たり。もし易行をさしを |
J16_0986A11: | きて。難行に堪ずば。出離の道なにをもつてか。先 |
J16_0986A12: | 途とすべきやと。いとねんごろに曉諭し給ひけれ |
J16_0986A13: | ば。誹謗の輩も。さすがにことはりにやをれけん。 |
J16_0986A14: | またさまたぐる人なかりけり。それ舜昌大德は。山門 |
J16_0986A15: | の住侶にして。はやく僧綱にすすみ。學は顯密をき |
J16_0986A16: | はめ。德は智行をかねて。瑜伽の壇の上には。四曼 |
J16_0986A17: | 不離の花をながめ。觀念の窓の前には。三諦圓融の |
J16_0986B18: | 月をすまして。台宗の名匠。一時の雄才たりといへ |
J16_0986B19: | ども。智惠のさきら。いみじくして。自力斷證のか |
J16_0986B20: | なひがたきをわきまへ。厭欣の思ひふかかりしかば。 |
J16_0986B21: | 他力往生の易行には歸せり。しかあるに。念佛弘通 |
J16_0986B22: | の諸師おほかる中に。ひとり吉水の御勸化のみぞ。 |
J16_0986B23: | 上は彌陀の本願に順じ。下は衆生の機縁に應じて。 |
J16_0986B24: | 往生の靈驗。見聞殊におほく。末法の得脱。餘行に |
J16_0986B25: | 超過しけるを見てこそ。顯密の修行をさしをきて。 |
J16_0986B26: | 專修の門には入給ひけめ。されば。御傳の惣修は。 |
J16_0986B27: | もと上皇の嚴敕にかしこまるといへども。法印の折 |
J16_0986B28: | 衷は。しかしながら報恩の素懷をつくせるならし。 |
J16_0986B29: | 道心堅固にして。浮雲の名利をわすれ。慈悲廣大に |
J16_0986B30: | して。衆生の沈淪をあはれむにあらずば。たれの人 |
J16_0986B31: | か。聖道の家にありながら。我大師の御化道をし |
J16_0986B32: | も。扶らるる事かくばかりねんごろならんやと。其 |
J16_0986B33: | 宿縁の程。いとたふとかりけり。さて舜昌法印をば。 |
J16_0986B34: | 御傳惣修の賞として。知恩院第九代の別當に補せら |