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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0986A01: 證誠の説なり。山王權現納受し給へる行なり。大師
J16_0986A02: 先德依用したまへる勤なり。もし是をも難ぜらるべ
J16_0986A03: くは。まづ敎主釋尊を難じ。恒沙の諸佛を難じ。次
J16_0986A04: に山王權現を難じ。大師先德を難じ申さるべき歟。
J16_0986A05: 其難またく老愚が身の上にはあづからじ。就中。非
J16_0986A06: 器不堪の老愚は。一乘修學の窓。とこしなへにくら
J16_0986A07: 〓して。眞常性の月。かげをかくし。五相成身の觀。
J16_0986A08: こらしがたくして。本不生の水。にごりをます。顯敎
J16_0986A09: にも密敎にも。進退ともに度をうしなひ。眞諦にも
J16_0986A10: 俗諦にも。内外ともに忙然たり。もし易行をさしを
J16_0986A11: きて。難行に堪ずば。出離の道なにをもつてか。先
J16_0986A12: 途とすべきやと。いとねんごろに曉諭し給ひけれ
J16_0986A13: ば。誹謗の輩も。さすがにことはりにやをれけん。
J16_0986A14: またさまたぐる人なかりけり。それ舜昌大德は。山門
J16_0986A15: の住侶にして。はやく僧綱にすすみ。學は顯密をき
J16_0986A16: はめ。德は智行をかねて。瑜伽の壇の上には。四曼
J16_0986A17: 不離の花をながめ。觀念の窓の前には。三諦圓融の
J16_0986B18: 月をすまして。台宗の名匠。一時の雄才たりといへ
J16_0986B19: ども。智惠のさきら。いみじくして。自力斷證のか
J16_0986B20: なひがたきをわきまへ。厭欣の思ひふかかりしかば。
J16_0986B21: 他力往生の易行には歸せり。しかあるに。念佛弘通
J16_0986B22: の諸師おほかる中に。ひとり吉水の御勸化のみぞ。
J16_0986B23: 上は彌陀の本願に順じ。下は衆生の機縁に應じて。
J16_0986B24: 往生の靈驗。見聞殊におほく。末法の得脱。餘行に
J16_0986B25: 超過しけるを見てこそ。顯密の修行をさしをきて。
J16_0986B26: 專修の門には入給ひけめ。されば。御傳の惣修は。
J16_0986B27: もと上皇の嚴敕にかしこまるといへども。法印の折
J16_0986B28: 衷は。しかしながら報恩の素懷をつくせるならし。
J16_0986B29: 道心堅固にして。浮雲の名利をわすれ。慈悲廣大に
J16_0986B30: して。衆生の沈淪をあはれむにあらずば。たれの人
J16_0986B31: か。聖道の家にありながら。我大師の御化道をし
J16_0986B32: も。扶らるる事かくばかりねんごろならんやと。其
J16_0986B33: 宿縁の程。いとたふとかりけり。さて舜昌法印をば。
J16_0986B34: 御傳惣修の賞として。知恩院第九代の別當に補せら

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