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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0983A01: 敕修吉水圓光大師御傳縁起
J16_0983A02:
J16_0983A03: 法然上人行狀畵圖一部四十八卷は。九十二代後伏見
J16_0983A04: 上皇。叡山功德院舜昌法印に敕して。昔年吉水門人
J16_0983A05: の記する所の。數部の舊傳を集めて。大成せしめ給
J16_0983A06: ふにぞ侍る。これによつて世の人。敕集の御傳と稱
J16_0983A07: して。ことに尊重する事にはなりぬ。つらつらこれ
J16_0983A08: を拜閲するに。行狀の詳悉にして。文章の優美なる
J16_0983A09: 事。諸傳に比類なし。安心起行の要義は。吉水の遺
J16_0983A10: 訓玉をつらね。念佛往生の靈驗は。僧俗の先縱鏡を
J16_0983A11: かけたり。誠に大師一代の化儀を記すといへども。
J16_0983A12: 兼てはまた發心の勝縁西方の良導なるものをや。昔
J16_0983A13: 我大師御在世の時。常に左右に親炙しける門弟の中
J16_0983A14: に。聖覺法印隆寬律師勢觀上人など。をのをの。師
J16_0983A15: の行業を錄しとどめられける。傳記數編古より世に
J16_0983A16: 行はれて。大師の道跡いちじるし。又まのあたり。
J16_0983A17: 吉水の敎化に浴し給へる。君臣僧俗の行狀も。あひ
J16_0983B18: つゐで門人の記せる傳文。あまた世にとどまりて。
J16_0983B19: 共に當時の實錄にして。後の世の鏡なりけり。しか
J16_0983B20: あれど。祖師を去こと。やや遠ざかりゆくままに。
J16_0983B21: 背宗の徒又きをひをこりて。みだりに傳記を作爲せ
J16_0983B22: しより。玉石すこぶる色をあらそひ。眞僞ほとほと
J16_0983B23: 跡をみだす。かくては。末の世の人のまよひ。法の
J16_0983B24: わざはひなるべし。爰に後伏見上皇。本より大師の
J16_0983B25: 德行を。御信仰ましましけるが。叡慮もかたじけな
J16_0983B26: く。かかる事をや思召されけん。上人の道跡より。
J16_0983B27: 弘敎の門弟。歸依の君臣等の行狀に至るまで。ただ
J16_0983B28: 吉水門人の。をのをの記し置る。舊記をかんがへて
J16_0983B29: 事の同じきをはぶき。跡の異なるをひろひ。數編の
J16_0983B30: 傳記を總修して。一部の實錄となし。萬代の龜鑑に
J16_0983B31: そなへまうすべき旨。舜昌法印に仰下さる。法印つ
J16_0983B32: つしみ承りて近代杜撰の濫述をば擇びすて。ただ門
J16_0983B33: 人舊記の實錄をのみ取用て。類聚して編をなせり。
J16_0983B34: しげきをかりては。要をあつめ。漢字を譯しては。

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