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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0657A01: ともしひと申文は。語燈錄の事にてそ候らん。法然
J09_0657A02: 上人の御書をあつめたる文にて候とて。かしまいら
J09_0657A03: せたりけれは。よろこひてこれを御らんするに。往
J09_0657A04: 生うたかひなくおほえさせ給けれは。やかてうつさ
J09_0657A05: んとおほしめしたちける夜の御ゆめに。束帶なる上
J09_0657A06: 﨟の。二人兩方にたたせ給たりけるを。いつくよりい
J09_0657A07: らせ給ひて候そと申されけれは。われは。このこと葉
J09_0657A08: のともしひの守護のために。北野平野の邊よりまい
J09_0657A09: りて候也とおほせられけるに。又そはに貴けなる僧
J09_0657A10: の。あの上﨟は。北野天神。平野大明神にておはし
J09_0657A11: ます也。一切衆生の信をまさんする聖敎なるあひ
J09_0657A12: た。三十神の番番にまはりて。守護せさせ給そと。
J09_0657A13: おほせらるるとおもひて。うちおとろかせ給ぬ。こ
J09_0657A14: とに貴くおほしめして。これをうつして。つねにみ
J09_0657A15: まいらすれは。往生の事は。いまは手にとりたるやう
J09_0657A16: におほえ候そと。まさしく御物かたり候きと。本心
J09_0657A17: 房つたへ申候き。さてそののち。一心に御念佛あり
J09_0657B18: て。正和元年壬子八月に。三日さきたちて時日をしろ
J09_0657B19: しめして。われはこの月の四日の卯のときに往生す
J09_0657B20: へしとおほせられけるか。日も時もたかはす。八月
J09_0657B21: 四日夘のはしめに。高聲念佛百三十遍となへて。御
J09_0657B22: こゑとともに。御いきととまらせ給ひき。御とし廿九
J09_0657B23: とうけ給はりき。くはしくは語錄驗記のことし。云云
J09_0657B24: 善導の御さつけ。神明の御守護。かたかたたのもし
J09_0657B25: くおほえて。ははかりなからこれをしるすところ也。
J09_0657B26: をよそこの錄をみて。安心をとりて往生をとけたる
J09_0657B27: 人おほし。くはしくしるすにをよはす云云
J09_0657B28: 元亨元年辛酉のとし。ひとへに上人の恩德を報し
J09_0657B29: たてまつらんかため。又もろもろの衆生を往生の
J09_0657B30: 正路にをもむかしめむかために。此和語の印板を
J09_0657B31: ひらく
J09_0657B32: 一向專修沙門南無阿彌陀佛圓智謹書
J09_0657B33: 沙門了惠感歎にたえす隨喜のあまり七十九歳の老
J09_0657B34: 眼をのこひて書之

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