浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0632A01: | わか身をは善根薄少なりと信じて。本願をたのみ念 |
J09_0632A02: | 佛せよとすすめ給へり。經に。一たひ名號をとなふ |
J09_0632A03: | るに。大利を得とす。又すなはち無上の功德を得と |
J09_0632A04: | とけり。いかにいはんや念念相續せんをや。しかれ |
J09_0632A05: | は善根なけれはとて。念佛往生をうたかふへからす。 |
J09_0632A06: | 又念佛すれとも。心の猛利ならさる事は。末世の凡 |
J09_0632A07: | 夫のなれるくせ也。その心の中に。又彌陀をたのむ |
J09_0632A08: | 心のなきにしもあらす。たとへは主君の恩ををもく |
J09_0632A09: | する心はあれとも。みやつかひする時。いささかもの |
J09_0632A10: | うき事のあるがことし。ものうしといへとも。恩を |
J09_0632A11: | しる心のなきにはあらさるがことし。念佛にだにも |
J09_0632A12: | 猛利ならすは。いつれの行にか猛利ならん。いづれ |
J09_0632A13: | も猛利ならされはとて。一生むなしくすきは。その |
J09_0632A14: | をはりをいかんたとひ猛利ならざるに似たれとも。 |
J09_0632A15: | これを修せんとおもふ心あるは。こころさしのしる |
J09_0632A16: | しなるへし。このめはをのつから發心すといふ事あ |
J09_0632A17: | り。功をつみ德をかさぬれは。時時猛利の心もいで |
J09_0632B18: | くる也。されははしめよりその心なけれはとてむな |
J09_0632B19: | しくすぎは。生涯いたつらにくれなん事。後悔さきに |
J09_0632B20: | たつへからす。なかんつく善導の御義には。散動の |
J09_0632B21: | 機をえらはざる也。しかれは猛利の心なけれはとて |
J09_0632B22: | 往生をうたかふへからす。又世間のいとなみひまな |
J09_0632B23: | けれはこそ。念佛の行をは修すへけれ。そのゆへは男 |
J09_0632B24: | 女貴賤。行住坐臥をえらはす。時處諸縁を論せす。 |
J09_0632B25: | 是を修するにかたしとせす。乃至臨終にも。その便 |
J09_0632B26: | 宜をえたる事念佛にはしかすといへり。餘の行は。 |
J09_0632B27: | まことに世間忩忩の中にしては修しかたし。念佛の |
J09_0632B28: | 行にかきりては在家出家をえらはす。有智無智をい |
J09_0632B29: | はす。稱念するにたよりあり。世間の事にさへられ |
J09_0632B30: | て。念佛往生をとげざるへからす。ただし詮ずると |
J09_0632B31: | ころ。無道心のいたすところ也。されはとて世間を |
J09_0632B32: | すてざるものゆへ。世間にはばかりて念佛せずは。 |
J09_0632B33: | わか身にたのむところなく。心のうちにつのるとこ |
J09_0632B34: | ろなし。うけかたき人身をうけ。あひかたき佛法に |