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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0540A01: はをほせられたれ。往生要集の序にも。顯密の敎法
J09_0540A02: 其文ひとつにあらす。事理の業因其行これおほし。利
J09_0540A03: 智精進の人はいまたかたしとせず。予がごときの頑
J09_0540A04: 魯の者あにたやすからんや。此ゆへに念佛の一門に
J09_0540A05: よりて。經論の要文をあつむ。是をひらき是を修す
J09_0540A06: るに。さとりやすく行じやすしといふ。これらの證
J09_0540A07: 據あきらめつへし。敎をえらふにはあらず。機をはか
J09_0540A08: らふなり。我ちからにて生死をはなれん事。はげみが
J09_0540A09: たくして。偏に他力の彌陀の本願をたのむ也。先德
J09_0540A10: たちおもひはからひてこそは。道綽は聖道をすてて
J09_0540A11: 淨土の門にいり。善導は雜行をととめて一向に念佛
J09_0540A12: して三昩をえ給ひき。淨土宗の祖師次第にあひつけ
J09_0540A13: り今わづかに一兩をあぐ。この朝にも惠心永觀なと
J09_0540A14: いふ。自宗他宗の人師ひとへに念佛の一門をすすめ
J09_0540A15: たまへり。專雜二修の義はしめて申にをよはす。淨
J09_0540A16: 土宗の文おほし。こまかに御覽すへし。又即身得道
J09_0540A17: の行。往生極樂にをよばさらんやと候は。まこと
J09_0540B18: にいはれたるやうに候へとも。いつれにも宗と申す
J09_0540B19: 事の候ぞかし。善導の觀經の疏には。般若經のこと
J09_0540B20: きは。空惠をもて宗とし。維摩經のこときは。不思
J09_0540B21: 議解脱をもて宗とす。今此觀經は觀佛三昧をもて宗
J09_0540B22: とし。念佛三昧をもて宗とすといへり。法花は。眞
J09_0540B23: 如實相平等の妙理を觀して證をとり。現身に五品六
J09_0540B24: 根の位にもかなふ。これらをもて宗とす。又法花に
J09_0540B25: は。おほくの功力をあけて經をほむるついでに。即
J09_0540B26: 往安樂ともいひ。又即往兜率天上ともいふ。これは
J09_0540B27: 便宜の説也。往生をむねとするにはあらす。眞言又
J09_0540B28: かくのことし。法花念佛一つなりといひて。ならべ
J09_0540B29: て修せよといはは。善導和尚は。法花維摩等を誦し
J09_0540B30: き。淨土の一門にいりにしよりこのかた一向に念佛
J09_0540B31: して。あへて餘の行をましふる事なかりき。しかのみ
J09_0540B32: ならす淨土宗の祖師あひついで。みな一向に名號を
J09_0540B33: 稱して。餘業をまじへされとすすむ。これらを案し
J09_0540B34: て專修の一行にいら勢給へと申すなり

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