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J1350 一枚起請弁述 義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0131A01: きを决し給へる也凡そ世事にもあれ佛法にもあれ物
J09_0131A02: 事の上に涉て一事にても落居しおほせて是非善惡の
J09_0131A03: 問疑なく决斷し得んこと豈に容易にして之を得へけん
J09_0131A04: や上人は涉聖敎傳記等を曉めその敎かの傳に眼を
J09_0131A05: さらして終に往生の直路を示し末世凡俗出離の大道
J09_0131A06: をこの一紙に至極せしめ給へり何そその事を輕易に
J09_0131A07: すへけんや上人にあらずして誰か此仁に書し授けん
J09_0131A08: や大方人の仕置ける跋につきては誰もかほとには思
J09_0131A09: ひ企つへけれとも小事にても落居する事の難きは誰
J09_0131A10: れ人もよく知れる所也さてこそ一紙の趣きに引きか
J09_0131A11: へて或は觀念の念或は學文をして悟りたる念こそ念
J09_0131A12: 佛の念なりと云ひ或は別の子細あり奧深き事を可
J09_0131A13: 存抔と立てその事を落居する迄の功業には總て一代
J09_0131A14: の佛法に涉らすんはなと疑ひ無く是非分明なる事を
J09_0131A15: 得へけんやされはこの一紙に事を落居し給へる中に
J09_0131A16: 佛の御一代の敎法上人御生涯の勳功は悉く含み示し
J09_0131A17: 給へることと斷する也世の奏狀の如く若干の巨細を入
J09_0131B18: るるものならんや世の常ね事繁くあや分け難くして
J09_0131B19: 理を立て義を講する抔云ふ事未事知半途にしてこ
J09_0131B20: そあるへけん何そ義を裝り理を斷するの間を以て事
J09_0131B21: の至り道の極りとすへけんやさてもこの一枚は其詞
J09_0131B22: は和かに其義穩にして幽遠深妙也又言外の口傳もあ
J09_0131B23: る樣に云ひはやせと誰人に傳へ給ひしか知り難し思
J09_0131B24: ふに後人の憶談愚人を迷はすの妄傳なるへしそのゆ
J09_0131B25: へは凡そこの一紙の起りは一宗の安心起行につき最
J09_0131B26: も諸人の知り易きを本意として詞も和語の知り易き
J09_0131B27: を用ひ意も凡下の悟り易きをさきとして我宗の信行
J09_0131B28: の至極を只この一紙の面に顯し末世凡俗この趣きを
J09_0131B29: 鏡とせよ全くこの外に奧深きことなしとこそ誓言あり
J09_0131B30: つるに何の所以有てか言外に深理を隱し給はんやこ
J09_0131B31: の中に口傳抔云ひあへるは最も信受し難きことにそ侍
J09_0131B32: るたとひ上人御口づから授け給ふともかかる胡亂に
J09_0131B33: きこえし自語相違の御仰せなるをは如何につたなき
J09_0131B34: 吾等なりともなとおめおめと傳受すへけんやさばか

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