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J1350 一枚起請弁述 義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0124A01: 聖道門の事は措きて云はす淨土門の中にて云ふこと也
J09_0124A02: 聖道對辨にはあらさる也聖道に對すと見れは誹謗起
J09_0124A03: る淨土の中にて非本願の諸行と本願稱名との二がわ
J09_0124A04: かるる也今は法藏御本意の稱名を勸むと知るへし非
J09_0124A05: 本願は本意にあらさる故に捨る也本願とは選擇集に
J09_0124A06: 釋し給ふか如く選ひ取た本意の稱名也それを三經に
J09_0124A07: 阿難へ付屬し給ふも稱名也大經に彌勒へ流通し給ふ
J09_0124A08: も稱名念佛也故に稱名念佛を明かす正行に就て勸む
J09_0124A09: と心得よ扨て正行の中に二種あり助業と正業と也助
J09_0124A10: 業とは常常長き事には退屈を生す其退屈を退け正業
J09_0124A11: を勵む助となす助業に四ありそれを雜行に對すれは
J09_0124A12: 正行と云はるれとも稱名に對すれは非本願也然れは
J09_0124A13: 聖淨の中には聖をやめ正雜の中には雜をやめ助正の
J09_0124A14: 中には助をやめ專ら稱名に就て云ふと知るへし如來
J09_0124A15: の本意三佛大悲の本懷偏に稱名念佛にあり故に元祖
J09_0124A16: の私にはあらさる也因位果上阿彌陀佛か本也此意を
J09_0124A17: 以て諸佛も釋迦も隨自意は念佛を勸め給ふ也此意を
J09_0124B18: 得て稱名念佛の一行を勸め給ふ也本か佛敎也扨て稱
J09_0124B19: 名念佛に結歸すと雖念佛に紛れものあり即ち理の念
J09_0124B20: 佛事の念佛觀念の念佛等也此中に云ふ本願の念佛と
J09_0124B21: は理にあらす事にあらす觀に非す只聲を打立て南無
J09_0124B22: 阿彌陀佛と申す念佛也なんとなれは日本にても聖德
J09_0124B23: 太子を始め行基空也等の祖迄念佛を弘むる祖師多し
J09_0124B24: 然れとも其勸むる所の念佛或は理を兼ね事と云ひ觀
J09_0124B25: と云ひ永觀抔は定心發得せすんは報土に生し難しと
J09_0124B26: 云ひ又良忍上人は融通の旨を以て勸め給ふ何れも祖
J09_0124B27: 師の心まちまち也然るに元祖の所謂本願の念佛は何
J09_0124B28: のむつかしき事もなく南無阿彌陀佛と唱ふる計り也
J09_0124B29: と知らしむるか此一枚起請の意也選擇集の題號に南
J09_0124B30: 無阿彌陀佛とあるも事理觀を選ひ捨て偏に本願の稱
J09_0124B31: 名を取り給ふ其取りたる阿彌陀如來の本願念佛はも
J09_0124B32: ろこし我朝に沙汰し申さるる觀念の念にもあらす今
J09_0124B33: 一天下に念佛に志有る程の人は宗に入て元祖の流義
J09_0124B34: を尋ね得て安心を定むるを大事とす法藏本願の念佛

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