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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0033A01: かかるを臨終業成の人とは名くるなり。その正念現
J09_0033A02: 前する故は。一期怠らざる念佛の願行が。つねに熏じ
J09_0033A03: て業種となれば。願力心を持つて亂れざる。その驗
J09_0033A04: しなり。况や聖衆の護念。見佛の利益あるをや。又
J09_0033A05: 經には。念佛の數ほど。佛を見奉ると侍れば。臨終
J09_0033A06: 來迎の無數の化佛は。さながら我ら平生申置きぬる
J09_0033A07: 數數の念佛が。一聲も空しからで。みな佛とあらは
J09_0033A08: れて。臨終に現前し玉ふらんぞたのもしき。然れば。
J09_0033A09: 正しく觀音の蓮臺にのらんまでは。一期不退に隨
J09_0033A10: 犯隨懺して。願行相續の稱名怠りなく。慥に聖衆の
J09_0033A11: 來迎をまち居て。ただ今の一念を空しく過ぎざるを
J09_0033A12: 吉水の正統。鎭西白籏の正流に。浴し得たる。念佛の
J09_0033A13: 行者とは名くるなり
J09_0033A14: 願行相續の一句に。念佛の心行作業悉く備はる故に。
J09_0033A15: 智者の念佛なればとて。願行相續の外なく。愚者の
J09_0033A16: 念佛とても。願行相續に事足りぬ。但し分つ所は。願
J09_0033A17: 心に淺深あると。念佛に多少あるとの品なり。厭欣
J09_0033B18: の心ふかくは。愚者の願心も實に智者にまさりぬべ
J09_0033B19: し。厭欣の心あさくは。智者の願心も。かへりて愚
J09_0033B20: 者には劣りぬべし。念佛の多少も亦然なり。或は願
J09_0033B21: 心は淺けれども。念佛の多かる人もあるべし。或は
J09_0033B22: 念佛は少けれども。願心の深かる人もあるべし。と
J09_0033B23: にもかくにも。その願行の勝れたるは。九品の位も
J09_0033B24: 高く願行の劣りたるは。九品の位は低かるべけれど。
J09_0033B25: ただよく相續して。一期退轉せざる人は。ことごとく
J09_0033B26: 九品蓮臺の聖衆の數に入らざるはなし。されば念佛
J09_0033B27: 往生の法門には。智者なればとて。憍慢すべからず。
J09_0033B28: 愚者なればとて。卑下すべからず。定慧の自力をも
J09_0033B29: 賴みて參る道ならばこそ。智愚の隔てもあらめ。智
J09_0033B30: 者なりとも信願なくは生ずべからず。たとひ愚人も。
J09_0033B31: 信願あればかならず生ず。平等の大慈悲より。をこ
J09_0033B32: し玉ふ本願なれば。善惡智愚の隔なく。ふかく他力
J09_0033B33: を信じて。願行相續する人のみぞ。佛願には相應し
J09_0033B34: て。必生彼國の本懷をば遂ぐべきなり

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