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顕選択

提供: 新纂浄土宗大辞典

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けんせんちゃく/顕選択

隆寛撰。欠本。元仁二年(一二二五)、専修念仏弘通を妬んだ延暦寺の学僧定照は『選択集』を非難した『弾選択』を書き洛中に広めた。この『弾選択』に対して『選択集』を擁護したのが本書である。隆寛弟子である迎蓮は本書を東国で披露したところ、多数の道俗が本書に賛同した。しかし東国での評価に憤った定照は、是非を決するため両書を叡山に送ったところ、叡山僧侶は『顕選択』に憤り、三塔の集会を開き朝廷に奏聞し、嘉禄の法難がはじまったという。本書は散逸文献であるが『四十八巻伝』四二には、「汝が僻破のあたらざる事、たとえば暗天の飛礫ひりゃくのごとし」(聖典六・六三九/法伝全二六五)との逸文があったことが伝わる。本書の反駁書として『顕選択難義鈔』という書物があったが現在は散逸している。


【資料】『金綱集』(『日蓮宗宗学全書』一三)


【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)、平雅行『日本中世の社会と仏教』(塙書房、一九九二)


【参照項目】➡弾選択嘉禄の法難隆寛定照


【執筆者:伊藤茂樹】