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火(ひ)

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ひ/火

ものが燃えて熱と光を出す現象。火は、人類に恩恵を与えるとともに恐れられ、神として尊崇された。人類が初めて火を用いたのは北京原人で前期旧石器時代の後半からと推定されている。そこでは、焼かれた痕跡をもつ鹿角・鹿骨が四〇体程の人骨と共に遺跡から発見された。神話には火の神が登場し、ギリシャ・ローマにおいて、ベスタ神は火を司る神として崇拝された。ギリシャ神話では、ゼウスが隠した火をプロメテウスが天上から盗んで人類にもたらしたとする。このような火盗み神話や火で占いをしたり、火を祭ったりする火祭は世界各地に存在する。仏教では本堂仏壇に、キリスト教ユダヤ教では祭壇に火が灯される。ペルシャを起源とするゾロアスター教は拝火教と訳されるように火を拝み、オリンピックでは発祥の地ギリシャから聖火リレーが行われる。日本では火を管理する火之迦具土ひのかぐつち神が崇拝され、京都では大晦日に八坂神社から火をもらう風習がある。火は日と音が同じで、民間仏教者のひじりの語源は「日知り」(日の吉凶を知る者)あるいは「火治り」(神聖な火を管理する者)とされる。また、火はすべてのものを焼き尽くすという浄化・除災の機能と同時に、光を発し、暗黒の世界を払って幸いをもたらす。仏教では、前者は護摩焼香、後者は仏の光背と考えることができる。曇鸞讃阿弥陀仏偈』には光輪・光暁・光觴・光雲・光快・光啓・光照・光力・火焰・慈光・神光・威光・大光・金光無礙光不可思議光などの語がみられる。


【参考】松平斉光『祭』(日光書院、一九四三)、竹中信常『宗教儀礼の研究』(青山書院、一九六〇)、村山修一『浄土教芸術と弥陀信仰』(至文堂、一九六六)、井上光貞『改訂 日本浄土教成立史の研究』(山川出版社、一九七五)、宮家準『生活のなかの宗教』(NHKブックス、一九八〇)


【参照項目】➡灯明


【執筆者:藤井正雄】