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伝通記糅鈔

提供: 新纂浄土宗大辞典

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でんずうきにゅうしょう/伝通記糅鈔

四八巻。『糅鈔』ともいう。聖冏述。応永二年(一三九五)一二月一九日成立。良忠の『観経疏伝通記』に対する注釈書。第一巻から第二五巻までが「玄義分記」、第二六巻から第三四巻までが「序分義記」、第三五巻から第四一巻までが「定善義記」、第四二巻から第四八巻までが「散善義記」に対する注釈であり、『伝通記糅鈔目録』によれば、それぞれ九一〇、三二八、一五八、一六三の計一五五九項目を立てて内容を解説している。明徳四年(一三九三)一一月一二日から著述が開始された。自流である白旗派良暁の説と、藤田派性真の説と、聖冏の自説とを合糅したものである。分流した良忠門下の異義を統一して、浄土宗義を樹立し、また良忠の著作に注釈することを通じて、仏教全般に対する浄土宗義の妥当性を明確にしようとする、随自顕宗の立場によって著されたものである。『観経疏』および『伝通記』を理解する場合に必携となる書である。


【所収】浄全三


【参考】香月乗光「聖冏上人の『伝通記糅鈔』解説」(浄全三解説)


【参照項目】➡観経疏伝通記


【執筆者:曽和義宏】