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=さったほんしん／颯田本真=
弘化二年（一八四五）—昭和三年（一九二八）八月八日。[[浄土宗]]の尼僧。三河国<ruby>幡豆<rt>はず</rt></ruby>郡吉田村（愛知県西尾市吉良町）の颯田清左衛門の長女として生まれ、幼名をりつといった。両親は[[仏教]][[信仰]]に厚く、本真の兄弟一二人中六人が[[出家]]している。安政三年（一八五六）[[貞照院]]天然について[[得度]]し、叔母にあたる真珠庵の本乗尼のもとで[[修行]]した。本乗の師慈本尼の遺徳を慕い、三年間不臥の[[念仏]]を修し、明治一四年（一八八一）[[金戒光明寺]]の[[獅子吼観定]]から[[浄土宗]]の[[宗戒両脈]]を[[相承]]し、同一八年[[貞照院]]の戒幢より<ruby>形同<rt>ぎょうどう</rt></ruby>沙弥戒を受けた。のちに吉田村に慈教庵（現・徳雲寺）を建立し、一〇〇人を超える尼僧を養成した。また、神奈川県<ruby>鵠沼<rt>くげぬま</rt></ruby>に慈教庵（現・本真寺）を創設した。[[浄土律]]に培われた[[持戒]]堅固な尼僧としての[[托鉢]]を中心とする前半生である。他方、同二三年の三河地方の<ruby>大<rt>おお</rt></ruby><ruby>海嘯<rt>つなみ</rt></ruby>から大正一二年（一九二三）の神奈川県藤沢の震災に至るまで、三五年間に二三県一五〇余町村の天災地変に衣類や金銭を施し、窮民を慰問し、救助六万余戸、[[巡教]]十万余戸に及んだ。この難民[[救済]]のための[[布施]]行の実践と施しの[[行脚]]を指して「[[布施]]の[[行者]]」と尊称された。本真の後半生はすべてが[[利他]]行であった。
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【参考】藤吉慈海『布施の行者　颯田本真尼』（春秋社、一九七〇）、芹川博通『仏教と福祉』（『芹川博通著作集』七、北樹出版、二〇〇八）
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【執筆者：芹川博通】