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「遊心安楽道」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:35時点における最新版

ゆしんあんらくどう/遊心安楽道

一巻。新羅・元暁撰とされる。述教起宗致門・定彼土所在門・明疑惑患難門・顕往生因縁門・出往生品数門・論往生難易門・作疑復除疑門の七門で構成され、凡夫正機説を提言している。法然は『選択集』一に浄土宗名の典拠として本書の一文「浄土宗の意は本、凡夫の為にし兼ねて聖人の為にす」(聖典三・九九)を提示して、浄土宗が正当な宗派であることを論証しようとした。また、光明真言加持した土砂を遺体や墓上に撒布すれば亡者の業障が除かれて極楽往生するという亡者の極楽往生について説かれており、明恵光明真言信仰を確立した。流通本には『正蔵』や『浄全』の底本となった明暦四年(一六五八)刊本と京都市左京区の来迎院所蔵の写本(『来迎院本』)がある。本書は元暁の真撰が疑われており、元暁撰述の他に中国僧撰述説、八世紀初頭から九世紀初頭の新羅僧撰述説、八世紀東大寺の智憬撰述説、一〇世紀半ばの叡山僧撰述説などがある。


【所収】浄全六、正蔵四七


【参考】韓普光『新羅浄土思想の研究』(東方出版、一九九一)、愛宕邦康『〈遊心安楽道〉と日本仏教』(法蔵館、二〇〇六)


【執筆者:馬場久幸】