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「讃阿弥陀仏偈」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版

さんあみだぶつげ/讃阿弥陀仏偈

一巻。『無量寿経奉讃』『大経奉讃』とも略す。曇鸞撰。六世紀前半の成立。『無量寿経』により一九五行五一偈の偈頌をもって阿弥陀仏讃歎したもの。迦才浄土論』の曇鸞の伝記中に「法師無量寿経奉讃七言偈百九十五行ならびに問答一巻を撰集す」(浄全六・六五七下正蔵四七・九七下)とあり、また曇鸞略論安楽浄土義』には「讃を尋ねて知るべし。復た重ねてべず」(浄全一・六六六上正蔵四七・一上)とあるが、これらはいずれも『讃阿弥陀仏偈』を指すものである。その内容は、阿弥陀仏とその国土(第一偈)、光寿無量の徳(第二偈)、十二光(第三~一四偈)、次に阿弥陀仏以外の衆生功徳(第一五~三二偈)、国土功徳(第三三~四七偈)、龍樹菩薩の徳(第四八~四九偈)を讃歎し、最後に曇鸞自身の願生の意におよぶ(第五〇~五一偈)。なお本書には現行流布本と古写本の二系統のテキストが存在する。古写本の系統には、敦煌写本として、大英博物館蔵スタイン氏蒐集(S二七二三)本、龍谷大学赤松文庫本、そして本邦現存の古写本として康和元年(一〇九九)書写の良忍手沢本が存在する。構成は、流布本の系統が、題号、仏号・釈名、一九五行五一偈、礼拝回向文、讃礼数、尾題からなるのに対し、古写本の系統は礼拝回向文は存在せず、その他の字句の異同もある。流布本において、各偈の首尾に「南無至心帰命礼 西方阿弥陀仏」(首)、「願共諸衆生 往生安楽国」(尾)の句を置き、また第一四偈と第一五偈の間、および第五一偈のあとに「哀愍覆護我」から「普為師僧父母」に至る偈文を置いている。これらは古写本の系統には見られない特徴であり、後世善導の『往生礼讃』に準じて挿入されたものと考えられる。


【所収】浄全一、正蔵四七


【参考】矢吹慶輝『鳴沙余韻解説』(岩波書店、一九三三)、禿氏祐祥「讃阿弥陀仏偈の古本」(『龍谷大学論叢』三〇二、一九三二)


【執筆者:石川琢道】