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提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版

さいほう/西方

西の方角。特に阿弥陀仏極楽浄土を指す。西方極楽浄土の略。西方極楽浄土西方極楽世界ともいい、西方極楽西方浄土西方世界とも略される。『無量寿経』上には「仏、阿難に告げたまわく。法蔵菩薩、今すでに成仏して、現に西方まします。ここを去ること十万億刹なり。その仏の世界を名づけて安楽という」(聖典一・二三六/浄全一・一二)とある。また、『阿弥陀経』には「仏、長老舎利弗に告げたまわく。これより西方、十万億の仏土を過ぎて、世界あり。名づけて極楽という。その土に仏まします。阿弥陀と号したてまつる」(聖典一・三一六/浄全一・五二)とある。阿弥陀仏極楽浄土がなぜ西方にあるのか、という疑問については、たとえばインドの方向観念に基いて、西は未来の国、来世という観念が生まれたという説がある。このほかにも諸説立てられているが、結論は出ておらず、諸仏とその位置する方角との関係については、必然的根拠に基づいていない可能性が指摘されている。


【参考】望月信亨『浄土教の起原及発達』(共立社、一九三〇)、藤田宏達『原始浄土思想の研究』(岩波書店、一九七〇)


【参照項目】➡西方浄土極楽


【執筆者:大嶋憲彰】