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縁切り寺

提供: 新纂浄土宗大辞典

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えんきりでら/縁切り寺

江戸時代、女性が離婚を遂げるために駆け込んだ寺院のこと。相模国の東慶寺と上野国の満徳寺の二つの尼寺があった。妻が夫と離婚したいと考えた場合、妻は縁切り寺と呼ばれる尼寺に駆け込み、その後三年が経過したとき、寺は寺法を発動させて夫から離縁状を強制的に差し出させることにより離婚が認められた。時代が下るに従い、寺の仲介・説得によって当事者双方が示談で離婚を成立させ、妻は入寺せずにただちに親元へ引き取らせる内済ないさい離婚が増加していった。縁切り寺の制度は、逃亡者が追っ手からの難を逃れるために寺に逃げ込み、寺は仏の慈悲観念に基づき逃亡者を保護する、という中世から続く寺院の避難所としての伝統を汲んだものであるとされる。


【参考】高木侃『三くだり半と縁切寺 江戸の離婚を読みなおす』(講談社、一九九二)、石井良助『江戸の離婚』(日本経済新聞社、一九六五)


【参照項目】➡駆込み寺


【執筆者:名和清隆】