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=きょうばこ／経函=
経典を納めておく函。経箱、経筐とも書く。[[経函]]には、蓋を身に被せる様式の被せ蓋つくり、蓋と身の縁とを合わせた様式の合口つくり（印籠つくり）がある。主に木製だが、金属製の金銅[[経函]]、銅函や皮革製のもの、<ruby>蒔絵<rt>まきえ</rt></ruby>を施した蒔絵[[経函]]などがある。[[経函]]には、経典を単に保存するためのものもあれば、華麗な装飾を施したものもある。その意匠には、[[浄土]]の浴池に咲く[[蓮華]]と流水とを<ruby>相華<rt>そうげ</rt></ruby>した蓮池文、仏を[[供養]]する[[蓮華]]・宝相華に唐草を組んだ花文、[[散華]]の散蓮弁文、輪宝・<ruby>[[羯磨]]<rt>かつま</rt></ruby>などの法具を配した図様などがあり、『[[法華経]]』に基づく説話を蒔絵で施す作例もある。[[経函]]を華麗に装飾するのは、本来それ自体を美しく見せるためではなく、その中に納められた経典を尊び[[荘厳]]する意味がある。現存するものに、藤田美術館の仏[[功徳]]蒔絵[[経函]]（国宝）、[[當麻寺]]の俱利迦羅龍蒔絵[[経函]]（国宝）、その他将来の[[経函]]などがある。
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【参考】郷家忠臣「平安時代経箱の装飾性」（『日本仏教』二四、一九六六）、林進「高麗経箱についての二、三の問題—特に高麗装飾経との関係について—」（『仏教芸術』一三八、毎日新聞社、一九八一）
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【執筆者：馬場久幸】