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「称讃浄土仏摂受経」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版

しょうさんじょうどぶつしょうじゅきょう/称讃浄土仏摂受経

一巻。『称讃浄土経』と略称する。玄奘訳。唐の高宗の永徽元年(六五〇)訳出。鳩摩羅什訳『阿弥陀経』の異訳。他の諸本が、『阿弥陀経』、梵本のsukhāvatīvyūha、あるいはチベット語訳の’phags pa bde ba can gyi bkod pa zhes bya ba theg pa chen po’i mdoと、仏名あるいは国土名を経題に採用するのに対して、本経のそれは異質なものである。おそらくは『称讃浄土仏摂受経』後半で他方の諸仏の証誠を繰り返す一段に見られる「称讃不可思議仏土功徳一切諸仏摂受法門」から抜き出したものと考えられている。「浄土」の語が経題に用いられていることは、『阿弥陀経』で「彼仏国土」とされる箇所(梵本、チベット訳も同様)に「彼仏浄土」を用いる箇所があるのと同様、原本がそうなっていたのではなく、極楽に対する訳者の意識を反映しているものであろう。また、他の諸本では、後半の諸仏の証誠に相当する箇所がすべて六方段であるのに対し、四維が付け加えられて、十方段の構成となっており、合計四二仏を列挙している。法然は『逆修説法一七いちしち日の条(昭法全二三四)、『浄土宗略抄』『大胡太郎実秀へつかわす御返事』『正如房へつかわす御文』(いずれも『和語灯録』聖典四・三五八、四〇二、四二八)に本経の「慈悲加祐して心をして乱れざらしめ」(浄全一・一八八上)の一段を引用して、凡夫臨終正念となるため阿弥陀仏来迎があることを明かしている。末書に海誉梁道(—一七三一)『称讃浄土仏摂受経疏』三巻(明和六年〔一七六九〕刊)がある。


【所収】浄全一、正蔵一二


【参考】藤田宏達『浄土三部経の研究』(岩波書店、二〇〇七)


【参照項目】➡阿弥陀経


【執筆者:齊藤舜健】