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=ひらさんこじんれいたく／比良山古人霊託=
一巻。慶政（一一八九—一二六八）著。延応元年（一二三九）五月、[[九条道家]]の病気平癒のために[[祈禱]]した実兄の慶政と、刑部権大輔家盛の妻に<ruby>憑<rt>つ</rt></ruby>いた比良山の大天狗との、三度にわたって行われた[[問答]]を慶政が筆録したもの。[[問答]]は五十数箇条に及ぶ。内容は多岐にわたるが、①道家に憑いた天狗や道家の病について、②死者の生処について、③[[現世]]人の[[消息]]を含む将来の予測、④仏事修繕について、⑤天狗の生態について、⑥その他（挨拶や忠告）に分類される。死者の[[後世]]に関して、例えば[[明恵]]は[[兜率天]]の内院に[[上生]]していると述べている一方で、[[法然]]は無間[[地獄]]に堕していると述べている。諸本としては、宮内庁書陵部蔵本、猪熊信男蔵本、小松輝久蔵本、[[高山寺]]本、西田長男蔵本の五本が知られている。内容的にほとんど差はないが、前二本と後三本では敬語や助詞の有無などの異同が認められる。
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【所収】『新日本古典文学大系』四〇『宝物集　閑居友　比良山古人霊託』（岩波書店、一九九三）
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【参考】池見澄隆「『比良山古人霊託』の世界・覚え書—宗教史料分析の一視点—」（『佛教大学総合研究所紀要』一五、二〇〇八）
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【執筆者：池見澄隆】