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提供: 新纂浄土宗大辞典

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う/有

「存在」や「生存」の意。ⓈⓅbhāva。輪廻からの解脱を目指す仏教においては、この輪廻世界自体が「有」であり、この意味で有は生死輪廻が続く迷いの存在世界を意味し、三種類の有(三有)が立てられる。すなわち、欲有(欲界の生存)・色有(色界の生存)・無色有(無色界の生存)の三つである。また有は、十二支縁起の中で、生(生まれること)の根拠として位置づけられている。一方、浄土教においては、「有」が特に大きなテーマとして取り上げられることはないが、部分的に関連する言説は指摘できる。例えば、『入楞伽経』では、龍樹が「有無の見」を破して安楽国に往生したと述べられている。また、曇鸞往生論註』では、浄土への往生は「無生の生」であって、この迷いの世の「三有虚妄の生」とは異なると説かれる。いずれにせよ、浄土教でも「有」の世界を厭い離れることが、その大きな目標となっているといえる。


【参照項目】➡十二因縁無生而生往生


【執筆者:平岡聡・安達俊英】