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念仏名義集

提供: 新纂浄土宗大辞典

ねんぶつみょうぎしゅう/念仏名義集

三巻。聖光述。一三世紀前半の成立。下巻末に「歳七十ニマカリ成テ」(浄全一〇・三八二上)とあることから、聖光七〇歳から入寂の嘉禎四年(一二三八)の間の成立と考えられる。本書には、法然弟子であるといって念仏の義を説く者が霞のごとく全国に広がっているが、中には法然の意とは異なる義を説く者がいることを嘆いてこの書を作成したとある。内容は教判、専雑二修、正助二行、五種正行三部経三心疑心、異説、四修三種行儀五念門についてそれぞれ説示されている。法然浄土教の名目がまとまって示されており、聖光の説く浄土教教義を網羅的に窺うことのできる書である。『疑問抄』には上総かずさの在阿弥陀仏がこの書によって往生教義を弁じ、また宇都宮禅門のもとでこの書の内容を語ったところ、法然から聞いたことと一つも違わないことに感嘆したという。


【参考】恵谷隆戒「宗義顕彰・鎮西、記主著作解題」(浄全一〇、山喜房仏書林、一九七一)、「浄土宗全書解題」(浄全二一、一九七二)


【執筆者:郡嶋昭示】