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応病与薬

提供: 新纂浄土宗大辞典

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おうびょうよやく/応病与薬

医者が、病気の種類によって、効能のある適当な薬を処方すること。仏や菩薩説法のあり方の例えとして用いられる。応病授薬ともいい、対機説法の比喩的表現。仏や菩薩が人の能力やその時の状況を見て、最も相応しい教えを説くことを、良医が病を診て最も効能のある薬を患者に処方することに例えている。『維摩経』に「大医王となって善くもろもろの病を療し、病に応じて薬を与え服行をえせしむ」(正蔵一四・五三七上)とあるのは一例であり、これ以外にも様々な経典に、仏や菩薩は大医王、すなわち名医に例えられ、教えという薬をもって衆生の苦しみや煩悩を取り除くと説かれている。また法然は『念仏往生義』において、罪の障りの多いものにも念仏を勧め、病が重いからといって薬を用いなければそれが治らないように、自身の罪障が多いからといって念仏往生を疑うべきではないことを述べている(聖典四・五二四/昭法全六八九)。


【参照項目】➡対機説法


【執筆者:石田一裕】