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実体とは[[阿弥陀仏]]の本体、化用とはその作用をいい、[[他力本願]]（[[阿弥陀仏]]）の実体を[[真如]]の理とし、その化用を本来<ruby>己心<rt>こしん</rt></ruby>に存する[[阿弥陀仏]]が<ruby>善巧[[方便]]<rt>ぜんぎょうほうべん</rt></ruby>によって[[有相]][[荘厳]]を現ずるものとする語。『<ruby>三六<rt>さぶろく</rt></ruby>通裏書』や『[[大原談義]]<ruby>聞書<rt>ききがき</rt></ruby>鈔』にみえる語であるが、その典拠は『[[大原談義聞書鈔]]』の第三[[問答]]に記されている。そこでは、[[浄土門]]には「[[他力本願]]の実体」と「[[他力本願]]の化用」の二義があると述べられている。[[他力本願]]の実体とは、仏の<ruby>[[密意]]<rt>みっち</rt></ruby>であり仏智の所照であって、[[聖道]][[浄土]]の二門は共に[[真如]][[実相]]を体とする。[[他力本願]]の化用とは、[[密意]]上の教門であり[[四智]]の所成とする。そして、[[阿弥陀仏]]は己心にあって、一座華台の形（[[有相]][[荘厳]]）を現すのだといい、[[不可思議]]智、不可称智等によって、この[[有相]][[荘厳]]の[[方便]]がなされるとしている。この論は、[[真如]]より[[阿弥陀仏]]の[[有相]][[荘厳]]や[[救済]]作用が出現することを表すものであり、[[阿弥陀仏]]の根源に[[真如]][[法身]]を想定し、その展開を説明するものであって[[法然]]の教えとは異なっている。
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【資料】『大原談義聞書鈔』
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【参考】戸松啓真「三部経の註釈および大原談義に関する著作」（『浄土宗典籍研究』山喜房仏書林、一九七五）、曽根宣雄「実体化用論について—『大原問答聞書鈔』を中心に—」（『仏教論叢』五二、二〇〇八）
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【参照項目】➡[[大原談義聞書鈔]]
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【執筆者：曽根宣雄】