「夢記」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:35時点における最新版
ゆめのき/夢記
一
一巻。大徳寺本『拾遺漢語灯録』上に所収され、『夢記』は大徳寺本の目録にある題名で、本文での題名は『御夢記』。異本の義山版『拾遺漢語灯録』上では『夢感聖相記』、『西方指南抄』中本では『法然聖人御夢想記』と題する。内容は、法然が夢の中で善導と出会う話である。その善導は、上半身は僧形の肉身であるが、下半身は仏身で金色であるという(半金色の善導)。『拾遺漢語灯録』上所収本では、本書の末に、建久九年(一一九八)五月二日の日付があるので、その頃のものと目されているが、善導との夢中対面は、浄土宗開宗年とされる承安五年(一一七五)とする伝承もある。
【所収】梶村昇・曽田俊弘「新出『大徳寺本 拾遺漢語灯録』について」(『浄土宗学研究』二二、一九九六)
【執筆者:角野玄樹】
二
明恵筆。寛喜二年(一二三〇)の成立。明恵が一九歳から五八歳までの間に見た夢を自ら記録したもの。冊子本に装丁されたものから断簡まで、直筆を含む膨大な記録が京都高山寺、陽明文庫などをはじめ、個人でも所蔵されている。内容は多岐に及び、盧遮那仏や文殊菩薩といった仏・菩薩に関するものや、明恵が信仰していた春日明神に関するものなど、宗教的なものはもちろん、世俗的なものまで、時には絵も添えて記されている。中には法然と対面した夢も見られる。
【所収】『明恵上人資料』二、『明恵上人要集』三、『明恵叢書』七
【参考】前川健一『明恵の思想史的研究 思想構造と諸実践の展開』(法蔵館、二〇一二)
【参照項目】➡明恵
【執筆者:郡嶋昭示】