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=りょりつ／呂律=
呂の音と律の音。転じて、[[音階]]のこと。中国では律呂といい、六律六呂のことで、[[十二律]]を陰陽思想に基づき二分した。呂は[[十二律]]の偶数の六律をいい、律は奇数の六律をいう。基音は<ruby>[[黄鐘]]<rt>こうしょう</rt></ruby>（陽・律・Ｄ）であり、陽律を<ruby>三分損一<rt>さんぶんそんいつ</rt></ruby>して出る音が<ruby>林鐘<rt>りんしょう</rt></ruby>（陰・呂・Ａ）、林鐘を三分益一した音が<ruby>太簇<rt>たいそう</rt></ruby>（陽・律・Ｅ）で、[[三分損益法]]をして音を出す。日本では逆に[[呂律]]といい、中国の[[十二律]]・陰陽にこだわらず、[[雅楽]]、[[声明]]で調子、律名、[[音階]]の区別に使う。平安時代に中国の広範な音楽理論をもとに、日本の[[音階]]論として、その基礎が作り上げられた。楽理の中心をなすものは、「<ruby>[[五音七声]]<rt>ごいんしちせい</rt></ruby>」「<ruby>六調子<rt>ろくちょうし</rt></ruby>」「[[呂律]]」などの調子に関するものである。六調子は、[[音階]]と節のめぐり方の違いから、呂は中国・外来の[[音階]]に近く、律は日本的な[[音階]]である。呂は、<ruby>[[壱越]]調<rt>いちこつちょう</rt></ruby>・<ruby>太食調<rt>たいしきちょう</rt></ruby>・<ruby>[[双調]]<rt>そうじょう</rt></ruby>で、律は、<ruby>[[黄鐘]]調<rt>おうしきちょう</rt></ruby>・<ruby>[[盤渉]]調<rt>ばんしきちょう</rt></ruby>・<ruby>[[平調]]<rt>ひょうじょう</rt></ruby>である。[[声明]]では呂[[音階]]の曲を呂曲、律[[音階]]の曲を律曲としている。また、発声の仕方、約束にも使われる。京都[[三千院]]の南北には、[[声明]]にちなんだ「呂川」「律川」という河川があり、呂曲律曲の[[声明]]の旋律をうまく唱えられないのを「ロレツが回らない」といい、一般には幼児、酩酊者の言葉がはっきりしないことをいう。
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【参考】滝遼一『中国音楽再発見思想篇』（第一書房、一九九二）
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【参照項目】➡[[音階]]、[[三分損益法]]、[[十二律]]
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【執筆者：渡辺俊雄】