名越流声明のソースを表示

=なごえりゅうしょうみょう／名越流声明=
[[名越派]]に伝承していた[[浄土宗]][[声明]]の流派。山崎[[専称寺]]（福島県いわき市<ruby>平<rt>たいら</rt></ruby>山崎）を中心として、東北地方に発展した[[名越派]]の[[法式]]で用いられる[[声明]]。同流の[[声明]]は東北地方に展開し、現在も青森県津軽地方の[[浄土宗]][[寺院]]に伝承したものが、わずかに残っている。[[六時礼讃]]では、[[日没]]・[[初夜]]・[[日中]]と<ruby>半月[[布薩]]式<rt>はんがつふさつしき</rt></ruby>の偈頌や三遍返し[[念仏]]に独特な旋律型を留めており、高度な[[声明]]音楽的な技法を駆使する哀調を帯びた[[声明]]である。[[礼讃]]における[[音階]]構成は下・中・上と[[変化]]するものの、演唱者が[[法会]]の内容により感情移入を塩梅するため、独自性の強い[[声明]]と位置付けられる。半月[[布薩]]式では[[露地偈]]、[[香水偈]]（[[香湯偈]]）、<ruby>受籌<rt>じゅちゅう</rt></ruby>偈などに同流[[声明]]の特色がある。三遍返し[[念仏]]は三遍の[[念仏]]が全て違う旋律で唱えられ、[[音階]]は陰陽の混合[[音階]]である。旋律型は装飾性を帯びたものが躍動感や段落感を、安定性を帯びたものが唱え始めと終止感を与える音楽的な構成がみられる。[[次第]]中では[[念仏一会]]の序と扱い、[[双盤]]を用いて唱えられる。
----
【資料】ＣＤ「名越流声明　津軽伝承」（青森教区弘南組、二〇一〇）
----
【参考】田中勝道「名越派の音声考」（『教化研究』六、一九九五）
----
【執筆者：田中勝道】