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=じゅうじゅうきんかい／十重禁戒=
[[菩薩]]が必ず守るべき十種の戒。これを犯すと[[菩薩]]の資格が失われる戒である。また十<ruby>[[波羅提木叉]]<rt>はらだいもくしゃ</rt></ruby>、十<ruby>[[波羅夷]]<rt>はらい</rt></ruby>などともいわれる。[[十重禁戒]]は『[[梵網経]]』を典拠とするが、『[[梵網経]]』にこの語は見出されず十重[[波羅提木叉]]として紹介される。[[十重禁戒]]は、[[円頓戒]]の戒法である[[三聚浄戒]]の第一・[[摂律儀戒]]を構成する戒であり、以下の十種が説かれる。①<ruby>[[殺戒]]<rt>せっかい</rt></ruby>（<ruby>[[不快意殺生命戒]]<rt>ふけいせっしょうみょうかい</rt></ruby>とも。生き物を殺さない）②<ruby>[[盗戒]]<rt>とうかい</rt></ruby>（<ruby>[[不劫盗人物戒]]<rt>ふこうとうにんもつかい</rt></ruby>とも。盗みを働かない）③<ruby>[[婬戒]]<rt>いんかい</rt></ruby>（<ruby>[[不無慈行欲戒]]<rt>ふむじぎょうよくかい</rt></ruby>とも。[[出家]]者は性交渉をもたず、在家は不倫をしない）④<ruby>[[妄語戒]]<rt>もうごかい</rt></ruby>（<ruby>[[不故心妄語戒]]<rt>ふこしんもうごかい</rt></ruby>とも。噓をつかない）⑤<ruby>[[酤酒戒]]<rt>こしゅかい</rt></ruby>（<ruby>[[不酤酒罪縁戒]]<rt>ふこしゅざいえんかい</rt></ruby>とも。酒を売らない）⑥<ruby>[[説四衆過戒]]<rt>せつししゅかかい</rt></ruby>（<ruby>[[不説他罪過戒]]<rt>ふせつたざいかかい</rt></ruby>とも。[[出家]]・在家問わず[[仏教]]徒の犯した罪を吹聴しない）⑦<ruby>[[自讃毀他戒]]<rt>じさんきたかい</rt></ruby>（<ruby>[[不自讃毀他戒]]<rt>ふじさんきたかい</rt></ruby>とも。自ら威張り散らし、また他人をそしりけなさない）⑧<ruby>[[慳惜加毀戒]]<rt>けんじゃくかきかい</rt></ruby>（<ruby>[[不慳生毀辱戒]]<rt>ふけんしょうきにくかい</rt></ruby>とも。他人に与えることについて惜しまない）⑨<ruby>[[瞋心不受悔戒]]<rt>しんじんふじゅげかい</rt></ruby>（<ruby>[[不瞋不受謝戒]]<rt>ふじんふじゅしゃかい</rt></ruby>とも。謝罪に対して、怒りをもって応じ、それを受け入れないということをしない）⑩<ruby>[[謗三宝戒]]<rt>ほうさんぼうかい</rt></ruby>（<ruby>[[不誹謗三宝戒]]<rt>ふひほうさんぼうかい</rt></ruby>とも。仏・法・僧の[[三宝]]をそしらない）。この十種が[[十重禁戒]]であるが、これらの戒はそれぞれ自らが犯さないことはもちろん、他人にも犯させないようにすることが要求されている。
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【資料】『菩薩瓔珞本業経』、『菩薩戒本疏』
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【参照項目】➡[[波羅提木叉]]、[[波羅夷]]
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【執筆者：石田一裕】