出過三界のソースを表示

=しゅっかさんがい／出過三界=
[[衆生]]が[[生死]]を繰り返す三つの[[世界]]（[[欲界]]・[[色界]]・[[無色界]]）を超出すること。諸仏の[[国土]]が[[三界]]の外にあるとの説は、『[[大智度論]]』九三にも「浄仏土あり、[[三界]]を出づ。[[乃至]][[煩悩]]の名もなし」（[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V25.0714a.html 正蔵二五・七一四上]）とあるように多くみられる。ただし、[[阿弥陀仏]]の[[浄土]]に関する言及は『[[往生論]]』に「彼の[[世界]]の相を観ずるに[[三界]]の道に勝過せり」（聖典一・三五三～四／[http://jodoshuzensho.jp/jozensearch_post/search/detail.php?lineno=J01_0192 浄全一・一九二]）とあるのが初出である。[[曇鸞]]は『[[往生論註]]』上に「[[浄土]]は[[三界]]の所摂に非ず。何を以てか之を言う。欲無きが故に[[欲界]]に非ず。地居なるが故に[[色界]]に非ず。色有るが故に[[無色界]]に非ず。<ruby>蓋<rt>けだ</rt></ruby>し[[菩薩]]別業の致す所のみ」（[http://jodoshuzensho.jp/jozensearch_post/search/detail.php?lineno=J01_0227 浄全一・二二七上]）と述べ、[[阿弥陀仏]]の[[浄土]]は、[[清浄]]な[[世界]]であり[[三界]]のいずれにも属さないが故に、[[三界]]を超出した[[世界]]にあるとする。以後、[[道綽]]や[[懐感]]をはじめ、[[浄土教]]の[[祖師]]は[[阿弥陀仏]]の[[浄土]]が[[出過三界]]であるとの立場をとる。しかし、[[浄影寺]][[慧遠]]・[[吉蔵]]・[[迦才]]等が[[三界]]の内にあるとの説を主張するなど、[[後世]]、盛んに議論された。
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【参考】金子寛哉『「釈浄土群疑論」の研究』（大正大学出版会、二〇〇六）、石川琢道『曇鸞浄土教形成論』（法蔵館、二〇〇九）
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【参照項目】➡[[三界]]
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【執筆者：石川琢道】