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三論宗

提供: 新纂浄土宗大辞典

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さんろんしゅう/三論宗

龍樹中論』四巻・提婆『百論』二巻・龍樹『十二門論』一巻の三部を所依の論とする学派で、吉蔵が大成した。学派(宗)としては中国で成立したが、思想の中心はインド伝来の般若・中観、大乗空の思想である。中国における般若・中観系仏教の研究は、鳩摩羅什とその門下から始まり、特に門人の一人である僧肇そうじょう(三八四—四一四頃)は、吉蔵に最も影響を与えた。また、日本へは南都六宗の中で最も早く伝来しており、奈良時代に盛んに学ばれたが、平安から鎌倉時代にかけて次第に衰微していった。三論宗教義としては、破邪顕正(破邪がそのまま顕正である)・真俗二諦(第一義諦俗諦で真理を示す)・八不中道(『中論』八不偈がそのまま中道をあらわす)が挙げられる。


【参考】青木隆「三論宗」(大久保良峻編『新・八宗綱要—日本仏教諸宗の思想と歴史—』法蔵館、二〇〇一)


【参照項目】➡八不中道


【執筆者:大屋正順】