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=しちかじょうせいかい／七箇条制誡=
[[法然]]が元久元年（一二〇四）一一月七日から九日までの三日間にかけて[[弟子]]一九〇名の署名を募り、以後の[[専修念仏]]の[[修行]]に関する<ruby>誡飭<rt>かいちょく</rt></ruby>を促したもの。原本は嵯峨[[二尊院]]に現蔵。国重要文化財。『[[漢語灯録]]』一〇には「[[七箇条起請文]]」、高田[[専修寺]]所蔵の[[親鸞]]自筆本『[[西方指南抄]]』には無題のまま所収されている。ほかにも『[[四巻伝]]』『[[高田本]]』『[[弘願本]]』『[[古徳伝]]』『[[九巻伝]]』『[[四十八巻伝]]』などの各種[[法然]]伝に収録。七箇条の条文は、第一条には「未だ一句の文をも<ruby>窺<rt>うかが</rt></ruby>わずして[[真言]]・[[止観]]を破し奉り、余の仏・[[菩薩]]を謗ずることを<ruby>停止<rt>ちょうじ</rt></ruby>すべき事」、第二条には「無智の身をもって有智の人に対し、[[別行]]の輩に遇いて好みて<ruby>諍論<rt>じょうろん</rt></ruby>を致すを停止すべき事」、第三条には「<ruby>[[別解]]<rt>べつげ</rt></ruby>[[別行]]の人に対し[[愚痴]]偏執の心をもってまさに本業を棄置すべしと称し、<ruby>強<rt>あなが</rt></ruby>ちにこれを<ruby>嫌嗤<rt>きらいわら</rt></ruby>うことを停止すべき事」、第四条には「[[念仏]]門においては戒行なしと号し、専ら婬酒食肉を勧め、<ruby>適<rt>たまた</rt></ruby>ま律を守る者をば[[雑行]]人と名づけ、[[弥陀]]の[[本願]]を<ruby>憑<rt>たの</rt></ruby>む者は造悪を恐るる勿れと説くを停止すべき事」、第五条には「未だ是非を弁ぜざる痴人[[聖教]]を離れ師説にそむきて<ruby>恣<rt>ほしいまま</rt></ruby>に私義を述べ、<ruby>妄<rt>みだ</rt></ruby>りに諍論を企て智者に<ruby>咲<rt>わら</rt></ruby>われ愚人を迷乱するを停止すべき事」、第六条には「痴鈍の身をもって殊に[[唱導]]を好み、[[正法]]を知らず種々の邪法を説きて無智の道俗を[[教化]]するを停止すべき事」、第七条には「自ら[[仏教]]に非ざる邪法を説きて[[正法]]となし、偽りて師範の説なりと号するを停止すべき事」（昭法全七八七～九）とそれぞれある。『[[漢語灯録]]』所収本に「私に云う、執筆は法蓮房なり、右大弁行隆の息なり」（昭法全七九二）とあるように、本文の起草は法蓮房[[信空]]が行い、[[法然]]は署名の次行に自ら花押のみを署している。署名には一番目[[信空]]、五番目[[源智]]、二三番目[[欣西]]、八七番目綽空（[[親鸞]]）、八九番目<ruby>[[蓮生]]<rt>れんせい</rt></ruby>（熊谷直実）などのように自筆であることが判明するものもあるが、代筆の者、同名の者も多い。『[[漢語灯録]]』一〇には同日付にて天[[台座]]主[[真性]]に送った「[[送山門起請文]]」が所収されている。「[[七箇条制誡]]」は署名の順番などの分析から[[比叡山]]に送るためのものではなく、特に[[一念義]]の主唱者や[[礼讃]]を好む[[念仏]]者に対し、[[専修念仏]]者としての誡飭を促すために起草されたものであることが分かっている。
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【所収】昭法全
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【参考】中野正明「〈七箇条制誡〉について」（『法然遺文の基礎的研究』法蔵館、一九九四）
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【参照項目】➡[[送山門起請文]]
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【執筆者：中野正明】


[[File:しちかじょうせいかい【七箇条制誡】.jpg|thumb|left|upright=2.5|[[七箇条制誡]]（[[二尊院]]蔵）]]