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マトゥラー美術

提供: 新纂浄土宗大辞典

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マトゥラーびじゅつ/マトゥラー美術

インドの首都ニューデリーの南南東一四五キロ、ヤムナー河右岸に位置した要衝マトゥラーを中心に、紀元前三世紀から紀元六世紀まで、特に仏教とジャイナ教の造像を主とした、白斑紅砂岩を素材とする石彫美術。前三世紀から後一世紀においては神像石彫と素朴なテラコッタ小像に特色があり、パールカム出土ヤクシー像など素朴な民間信仰に基づく雄大な造像もある。二世紀から三世紀はクシャーナ朝下にガンダーラから受け入れた仏像形式に立脚しつつ、前代から継承した伝統に立ち、マトゥラー独自の仏像形式を成立させ、ガンジス川流域各地の造寺活動に尊像を供給する本拠ともなった。またこの時代には南方アーンドラ地方でも石灰岩彫刻による仏教美術が栄えた。ついで、美術史上のグプタ時代である五世紀から六世紀は古典文化の高揚期にあたり、前代からの技術はさらに発達して洗練された彫法となり、新しい造形規範に従った、仏教、ジャイナ教の流麗な尊像がつくられ、古代インド美術の一つの頂点をなした。【図版】巻末付録


【参照項目】➡ガンダーラ美術


【執筆者:桑山正進】