千葉良導著。初版年不明。昭和五年(一九三〇)に佛教専門学校に寄贈された謄写版が残っており、その序論と結論に改訂がなされ、同六年に近江屋書店より謄写版が出版された。さらにこれを補訂するかたちで、同七年に同書店から活字版が刊行されている。浄土宗義の概説書。判教・聖典・目的・方法論・救済・実践の六章をたてて論を展開している。また、伝承を重んじるあまりに客観的にすぎる従来の宗乗研究の態度を戒め、自己の生命の問題として真剣に取り組むべきであるとしつつも、従来の宗乗を古いものとして蔑視し、打ち捨てるような当時の風潮に対しては苦言を呈している。
【執筆者:島恭裕】