えはつ/衣鉢
三衣と鉢。三衣一鉢の略。「えはち」「いはち」ともいう。僧侶の被着する三種類の衣と鉄鉢(応料器・食器)。師匠が弟子に法を伝えた証としてこの法具を与えたことから、伝法の信標を意味するようになった。この法の授受を「衣鉢を伝える」「衣鉢を継ぐ」といい、これが転じて広く先人の事業・業績を継承することを「衣鉢を継ぐ」というようになった。晋山式のときに、新命(新任住職)は先住より伝衣・伽藍譜などを受ける式があるが、その寺院に代々伝わる袈裟の授受を伝衣式といい、新命が法灯を継承して寺院住職となったことを顕している。
【参照項目】➡三衣一鉢、晋山式
【執筆者:西城宗隆】