「三心料簡および御法語」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
(相違点なし)
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における版
さんじんりょうけんおよびごほうご/三心料簡および御法語
醍醐寺所蔵『法然上人伝記 附一期物語』(以下、『醍醐本』)の「法然上人伝記」中にある一部分。『醍醐本』にある表題ではなく、二九丁表の「三心料簡事」から便宜上付けたもので、別伝記の直前までの部分を指す。鎮西派の典籍にはあらわれず、真宗高田派専修寺顕智の『見聞』に部分的に引用されているのみである。したがってさまざまな原典の存在を想定することができる。その撰者は、西山義の影響を受けた者、あるいは隆寛、あるいは思想史的には法然と隆寛・証空の間に位置する者などと一定していないが、鎮西派で成立したものでないという点では共通している。このことは『醍醐本』の成立と流布を考える上で重要な視点を提供する。なお最後尾には「善人なおもて往生す、況んや悪人を乎の事、口伝これあり」(昭法全四五四)の一文がある。ここから親鸞の言葉とされる悪人正機説の起源が法然にあるとする見方もある。
【所収】昭法全四四八
【参考】藤堂恭俊博士古稀記念会編『浄土宗典籍研究 研究篇』(同朋舎出版、一九八八)、永井隆正「顕智筆『見聞』に見られる醍醐本『法然上人伝記』」(『法然上人研究』二、一九九六)
【参照項目】➡法然上人伝記附一期物語
【執筆者:伊藤真昭】