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鎌倉の二位の禅尼へ進ずる御返事

提供: 新纂浄土宗大辞典

かまくらのにいのぜんにへしんずるおへんじ/鎌倉の二位の禅尼へ進ずる御返事

法然が鎌倉の二位の禅尼、すなわち北条政子に宛てた返信。『和語灯録』『西方指南抄』『四十八巻伝』に収められる。北条政子念仏往生についての質問に答えたもので、和文で書かれている。まず念仏功徳について、すべて語りつくすことは不可能であることを述べる。次に念仏修行のことに触れ、念仏はただ無知の人のみの修行ではなく、あらゆる衆生を対象とした修行であることを明かす。これに続け、もし念仏の行を誹謗中傷するような人に遭ったとしても、逆にその人のことを憐れみ、自身が念仏往生して覚りを開き、そのような人を救いとろうと思うべきであると説く。最後に念仏者の心得を五箇条にまとめ、異解異学の人や念仏以外の行を修行する人を見たら、それを否定せず、後世のためになりそうであれば人にはそれを勧め、自身は念仏の道に励むこと、また念仏には様々な意義があるが、すべては六字の名号を称えることに収まっており、常に念仏を称えることが重要なこと、などを説いている。


【所収】聖典四・三七一~六、同六・三六六~八、昭法全五二七~三二


【参考】安達俊英「御法語の背景—法然上人典籍研究」三九~四二(『浄土宗報』平成一六年七月号~九月号)


【参照項目】➡北条政子


【執筆者:石田一裕】