錠光仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうこうぶつ/錠光仏
釈尊が前世において修行しているとき、未来において成仏するであろうと予言(授記)した仏。ⓈDīpaṃkaraの訳で、定光仏、燃灯仏、灯光仏とも訳し、提和竭羅、提洹竭と音写する。『法華経』序品(正蔵九・四中)においては、燃灯仏は日月灯明仏の八人の王子の一人であり、妙光菩薩の教化により、八人の王子の中で最後に仏になったとされる。また、『無量寿経』上に列挙する五十三仏の第一であるが、梵本では八十仏、異訳の『大阿弥陀経』では三十三仏と差異がある。『無量寿経』上では「久遠無量、不可思議無央数劫に、錠光如来、世に興出して、無量の衆生を教化し度脱して、皆、得道せしめて、すなわち滅度を取りたまえり」(聖典一・二一九/浄全一・四)とあるが、錠光仏の出世時は、『大明度経』などでは過去九十一劫とされ差異がある。
【資料】『修行本起経』、『太子瑞応本起経』上
【参考】望月信亨『浄土教の起原及発達』(共立社、一九三〇)、立川武蔵『曼荼羅の神々—仏教のイコノロジー』(ありな書房、一九八七)
【参照項目】➡五十三仏一
【執筆者:薊法明】