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華籠

提供: 新纂浄土宗大辞典

けこ/華籠

本尊道場に迎え供養するための散華や献華用の花を盛る器。「けろう」「はなご」「はなかご」とも読み、また衣裓えこく華篋けきょうともいうほか、華筥けことも書き、その形状から俗に花皿はなざらともいう。衣裓については『阿弥陀経』に「おのおの衣裓をもって、もろもろの妙華をれて、他方十万億の仏を供養す」(聖典一・三一六~七)とある。古代インドでは衣のすそに花を包んで尊い方に投げかけて供養恭敬したことをいっており、同じく花を盛るところから器の名称として用いているものであろう。はじめは正倉院の宝物にあるように竹で編んだ質素なざる状のものであったが、現在はほとんど銅や真鍮などの金属の皿状の薄板にかしりをし、金メッキしたもので、底裏三ヶ所に飾り紐を垂らすための円鐶えんかんをつけている。透かし彫りの文様は蓮華宝相華ほうそうげが多いが、籠目かごめ模様のものは華籠の原形をあらわしている。飾り紐の色は、知恩院の紅白組み合わせのり紐、紫一色もあるが、通常は白・赤・青の三色のものを用いている。紐の先端には金属製のしずというおもりがつけられている。三色の紐の場合、いずれの色を前方正面にするかについて紅と白の二説あったが、『法要集』では、正面(前方)を白、左側を赤、右側を青としている。この飾り紐はかごのときの持ち手の名残とか、瓔珞ようらく変化したものであるなどといわれている。


【参照項目】➡衣裓散華


【執筆者:太田正敬】