やまいおくりねんぶつ/病送り念仏
疫病退散を願って行われる念仏。かつて高知県土佐市宇佐町の橋田薬師堂で行われていたものは、悪病が流行した際、薬師堂で悪疫を追いはらう念仏祈願をした後に、「ほいほい」と言いながら橋田地区周辺を、鉦鼓を鳴らしながら練り歩く。その中の一人が藁で作った船を持ち、各家の前を通るときかまどの灰を紙に包んでその船にのせる。地区を一周した後に海岸に出て船を海へ流すが、これは、かまどの灰の中に押し込めた病を遠くへ追いやる意味がある。
【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)
【執筆者:齋藤知明】