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新撰往生伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

しんせんおうじょうでん/新撰往生伝

八巻。風航了吟撰。大坂大福寺の住持であった了吟が、寛政五年(一七九三)に平安時代に作られた六家一一巻の往生伝の後を継いでその後の往生人の伝記を収録したもの。浄土宗における往生伝として代表的なものであり、一巻は鎌倉光明寺住持、二巻には増上寺住持が多いなどの傾向が見られ、総じて鎮西派の僧伝が目立つが西山派その他の僧伝もしばしば見受けられる。沙門往生類八九人(一~五巻)、法尼往生類一二人(五巻の余)、善男往生類四三人、童男往生類七人(以上六巻)、善女往生類三〇人、童女往生類三人(以上七巻)をおさめるほか、附録(八巻)がある。一から三巻は載籍より抜粋したものであり、四から七巻は著者の新撰である。三巻までに収録される伝はそれ以降の了吟新撰の伝と比較すると、往生伝とはいうものの伝記的性格が強く、紫雲や異香といった奇瑞はそれほど多くは語られない。また附録は四編からなり、第一は兜率および古今奇絶の往生を記し、第二は人を九品に配し各々詩歌を賛とし、第三は法華開結二経の国風すべて二〇首、第四は鎌倉光明寺八勝の詩歌である。五巻途中までの沙門往生類のみ、『浄全』に収載。


【所収】浄全一七


【資料】『蓮門類聚経籍録』


【参照項目】➡往生伝


【執筆者:永田真隆】