径中径又径
提供: 新纂浄土宗大辞典
けいちゅうけいうけい/径中径又径
四巻。清・張師誠著。清・道光五年(一八二五)の自序と同治七年(一八六八)の許浄中による序文があるが、本文の成立は自序にある道光五年と考えられる。張師誠は、江蘇巡撫などの官職を務めた念仏者である。自序によると、仏教は勧善懲悪の教えを説くもので、儒教と異ならないとし、禅教律以外の浄土一門を最も簡易な法門と考え、嘉慶一九年(一八一四)から歴代の浄土論説を精選し、信、願、行に配置して編集した上、浄土を讃える自分の詩作を付して本書を作成したとある。書名は袾宏『阿弥陀経疏鈔』の「今、この持名、これ径路の中の径にして又径なり」(続蔵二二・六一二上)の言葉の意をとったもので、袾宏の影響を強く受けている。官僚出身の仏教者が理解した浄土の事例として注目される。
【所収】続蔵六二
【執筆者:陳継東】